ありんこ書房

今日から使える創作ノウハウ。時々エッセイ。ゴシックカルチャー。

同人音楽作品「夢喰い」収録曲の作詞

      2016/03/21

スポンサードリンク

過去に制作した作品「夢喰い」に収録されている曲の作詞を行いました。
クリックで開閉できます。

Tr.1 薄闇のショーテント

まどろみの おくで
あるきつづける

黄昏れ時の孤独の果てに夢を失くした演者が集う
歪な冥闇を片身に抱え 夜が蝕む匣庭の戸を叩く

口を縫われた子らは眼差しで哭く その隙間から手々を伸ばして
醜さの奥で秩序を持った 唇が動く「さあ ごらんあれ」

人形は自らの縒糸を切って
草片も生えぬ我楽多になる

それは世の果てに影を伸ばすシアワセの国のフリーク・ショウ
誰のためでもなく今日も火の輪をくぐり綱を渡る

幕が降りるその時まで瞬きは赦されない
演目はまだこれからさ 手慰みでは足しになりはしない

鏡の中に置いてけぼりの幸せに触れようとして
傷口が語ったのは そこにある悪夢

演者がひとり綱から落ちた
客達は皆 嘆じてみせた
演者がひとり髪を焦がした
客達は皆 笑顔をみせた

口を縫われた子らは眼差しで哭く その隙間から手々を伸ばして
醜さのまま秩序を持たない 唇が動く「」

人形は自らの運命を知って
枳棘を湛えた海を泳ぐ

人形は自らの縒糸が切れず
枳棘の中で我楽多になる

あいにく様!

それは世の果てに影を伸ばすシアワセの国のフリーク・ショウ
誰のためでもなく今日も火の輪をくぐり綱を渡る

幕が降りるその時まで瞬きは赦されない
緩急の無いナンセンス 虫が死ぬよりかは尊いだろう?

鏡の中に置いてけぼりの幸せに触れようとした
傷口が教えていた 静かな絶望

Tr.2 夢喰い

幼い彼らに注いだ炎は
泣き叫ぶ喉を静かに灼いて
ベビーベッドから見上げた空こそ
彼らの知りうるその全てだった。

「――。」

例えば夢をみたその先に
陽だまりが在ると誰かが云っていて

僕等がそれに届くためには
些か背が足りないのだろう、と。

いつか僕等にはその権利が
与えられていないことに気づいて

かつて抱いた未来や理想は
羽化を待たずに腐って落ちた。

たとえば

牙を持たない憐れな獣は
空腹にその四肢を冒されて

籠の外に放たれた小鳥は
羽撃けずに土を撫でる

視えていたものが視えなくなって
足跡はもう増えそうにもない

失くすものすら失くしていく
宛ら傷付き横たわる野良猫

ただ
生かされていく
僕等。

小賢しい比喩に身を窶して切れ端に書き留めた台本が
相応しい結末を導くなら望むことなどそう無いだろう

産声を上げることがこんなにも酷いことなのだと知っていたなら
僕等は幸せという言葉の意味を理解できたというのだろうか

ゆえに

脚を挫いた無様な子鹿は
愛情をついに知ることもなく

籠の中で愛でられた小鳥は
羽撃き方すらも忘れて

掌に広げた望みすら
膝を落とせば刹那、奪われて

過ちを餌に肥大した
葬列は蜈蚣の足並みのように

醜い貌で泣き、笑う。

視えていたものが視えなくなって
足跡はもう増えそうにもない

掌に広げた望みすら
膝を落とせば刹那、奪われて

失くすものすら失くしていく
宛ら傷付き横たわる野良猫

忌まわしいセカイの果てで。

Tr.3 スリープ・ウォーカー

どれほど歩いただろうか
軋む躰、割れた心
背負うものの重さで砕けた脚は応えず
あるべき秩序、無償の愛、
陽だまりに咲く安らぎを
拾えないほどに抱えたものが多すぎたんだ。

誰も彼も目を逸らす
最果てのショーは続く

僕等を置き去りにしてシアワセの国は廻る
ひとつ、ふたつ、壊すために百の笑顔が迫る

暗闇に列を成す見世物小屋の一座は
朱と青の地平を目指し彷徨うスリープウォーカー

歩き疲れたある日気づく 少し背が伸びたことに
不思議なことに 視えないものの方が増えていた

舞台装置は
黙っているが

瞬きは赦さない

と、言っている。

軋み、綻びを抱えシアワセの国は廻る
みっつ、よっつ、壊れる音が世界を象っていく

夜明け前に連なる少年達の葬列
白と黒の境目を伝い揺蕩うスリープウォーカー

僕等を置き去りにしてシアワセの国は廻る
ひとつ、ふたつ、壊すために百の笑顔が迫る

暗闇に列を成す見世物小屋の一座は
朱と青の地平を目指し彷徨うスリープウォーカー

残酷な物語は結末を語らぬまま
羊皮紙の端にそっと灰色の染みを作る。

灼けた聲と唇が何を叫び、謳おうと
望むものはひとつだった

「悪夢ならば醒めておくれ」と。

 - 作詞, 活動記録