ありんこ書房

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【レビュー】六弦アリス「前衛歌劇団 イデア座 〜人殺しヴィレッジ〜」を聴きました

      2016/10/15

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蟻坂(@4risaka)です。
このあいだメジャーデビューした音楽ユニット「六弦アリス」の新譜を聴きました。

キャッチーなキラーチューンは控えめ、それをものともしない、おそろしい完成度

先に書いておきますが、今回の新譜はコンパクトな6曲構成(うち2曲はSEのたぐい)であり、
リードトラックの「人殺しヴィレッジ」を除いてガチガチのメタル構成に速弾きギターソロ、みたいなのはありません。
キャッチーなキラーチューンを何本も仕込んでくる六弦アリスとしては珍しい構成であるともいえます。

しかしですね、ミニアルバム構成だと緩急つけてテーマ性をもたせるとこうなりますよね。
うんうん、わかります。

それ故に完成度が高いです。
この作品は、自分の頭で考えて何度も聴くべきでしょう。

Tr.1 人殺しヴィレッジ 〜overture〜

陰鬱なバックトラックにのせた語り口で、
本アルバムのお話が語られます。
「アンドロイド」っていう単語が妙に現代的で浮いて聞こえますが、
なんだかわたしには意図があるように思えました。

ここで左chから聴こえるストリングスの上下フレーズを覚えておきます。

Tr.2 或る殉教者の物語

ピアノとディレイの効いたギターによる切ないロックチューンです。
六弦アリスは初期の頃から聴いていますが、この陰のあるような爽やかさを含むディレイサウンドは特徴的ですよね。

楽曲としてもツボをおさえていて、Bメロの盛り上がりからサビに入る時の助奏、
なめらかに入るキャッチーなサビは王道的な六弦アリスです。
この曲にはギターソロがありませんが、「とりあえず速弾き」みたいなのが無くなってきて
表現力の高まりを感じます。創り手としてわたしも見習いたいです。

Tr.3 闇に降る雪

ミドルテンポの引き続き切ないチューンです。
雪が音もなく降る様、「昨日を繰り返す」様が伝わってきます。

個人的なこの曲の大きな転換はこの次の「パペット・セメタリー」だとおもっているのですが、
起承転結の「承」を表した曲といったところでしょうか。
相変わらずサビはキャッチーで物哀しいです。

Tr.4 パペット・セメタリー

矩形波の無機質なイントロが滑らかにストリングスのそれにつながっていきます。
タイトルからしてもパペット(アンドロイド)→人間の対比を表現しているようなきがします。
何より、この無機質なメロディはTr.1で後ろに流れているフレーズと同じであり、
「人間そっくりのアンドロイドが住む村」そのものの表現にもおもえます。

2分50秒のシンプルなトラックに鮮烈な問いかけが詰まっています。
歌詞の主題は非常にわかりやすい範囲ではありますが、
何より「左chから例のイントロのフレーズがずっと聞こえている」という点が
変化の無さ、無機質さ、単調さ、無個性さの全てを物語っている気がして非常に不気味です。
構成のシンプルさもそれに輪をかけて表現の後押しをしています。

最後の最後に、矩形波の旋律を遮るように入る効果音が印象的です。

Tr.5 人殺しヴィレッジ

リードトラックです。
V系ロックのような怪しいギターリフに荘厳なストリングスが合わさる六弦アリス王道のキラーチューンです。
おそらく楽曲的にもそのような単純な狙いがあるとおもわれます。

その一方で、無個性、単調、無機質といったこのアルバム全体に漂う雰囲気はしっかり片鱗を覗かせており、
Bメロの平坦なメロディにそれを感じ取りました。
「キャッチーなキラーチューン」と、「僕」の行動を並べているようにもおもえますが、深読みですね。
また、Tr.2で述べられた「誰もが皆、神ではないか」という問いに対するアンサーを拾うことができました。
まーやっぱりソウデスヨネーわたしもそうおもいマス。

曝け出す感情は、この退屈な世界を変えたいわけじゃない
ただ、僕でいたいだけ

というフレーズが個人的にかなり強烈に突き刺さりました。
そうですよねーワカリマス。

Tr.6 惡ノ流転

シンプルな語りトラックです。テーマの全てが一本の線で繋がるようにおもえました。

なるほど、「惡ノ流転」ですね。
過去と現在を考え比べてみると、綺麗にハマっています。

あやしいまとめ

いやあ、たった6曲の間にこれだけ壮大なギミックが仕込まれていて本当に素敵でした。
わたしの中では一通り納得が行きましたし、六弦アリスが長い間主題としていることを顧みると、「まーそのとおりだね」って感じでした。
わりと直接的なので、解答は得られやすいんじゃないかなーとおもいます。
個人的には「人殺しヴィレッジ」と呼んだ客体が誰なのか気になります。

「人間そっくりのアンドロイド」っていうテーマ、ほんとに彼らはアンドロイドなんですかね。

少年は語る。
「人は集団心理によって殺される」

特設サイトからの引用です。考えすぎでしょうか。感受性には少し自身がございまして。

きになった方、特設サイトから試聴して、インターネットのお店でポチポチしましょう。

【追記2016.10.15】
続編「side: idea」のレビューも書きました。あわせて御覧ください。
【レビュー】六弦アリス「前衛歌劇団 イデア座 ~人殺しヴィレッジ~ side : idea」を聴きました

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