ありんこ書房

今日から使える創作ノウハウ。時々エッセイ。ゴシックカルチャー。

老害クリエイターにならないために、今時の若い子のネット活用を考察しようか。

      2016/09/05

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今後のクリエイター的な制作物の売り込みの展望にも繋がってくる話じゃないかと思って調べてみた結果です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

ニコニコにいた若い子、どこ行った?

記事タイトルにあるような「若い子の振る舞い」を考えたのは、ニコニコ動画の変遷が気になったのが最初にあります。

ニコニコ、どうも若い人のためのサービスかと思っていましたが冷静に考えて開設して10年経ってるので、順調にユーザー層にも差が生じてきています。
具体的には高齢化しています。

ニコニコ動画とは (ニコニコドウガとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

年齢層(2015年12月末現在)
2013年9月末現在
10代
16.2% 20代
41.5% 30代
22.7% 40代
12.6% 50代
3.9 他
3.0
2015年6月末現在
10代
14.2% 20代
40.6% 30代
23.6% 40代
13.5% 50代
4.5 他
3.5
2015年12月末現在
10代
13.8% 20代
40.1% 30代
23.9% 40代
13.7% 50代
4.7 他
3.8
上のグラフは、2013年9月末現在のデータ。20代以下のユーザーが減少し、30代以上が増加。「小学生が多くなった」と言われるniconicoであるが、いわゆる低年齢層は減っているようだ。

ここ10年、色々なことがありましたが、中でも象徴的なのはスマートデバイスの台頭とソーシャルネットワーキングサービスの定着ではないでしょうか。

ニコニコ動画が出てきた2006年ころはUGC(User Generated Contents,ユーザー自信が発信するコンテンツ)とかCGM(Contents Generated Media, ユーザーがコンテンツを作っていくメディア)全盛期で、ニコニコも「ユーザーが動画やコメントを投稿して盛り上げていく」というCGMそのものの特性を持っています。

が、時代が変わってコンテンツとかメディアの特性も変化しました。特にスマホアプリとSNSというところが大きいように思えます。CGMは定着しましたが、メディアの土台が変化したように思えます。

ニコニコはパソコンを使う印象があると思いますが、今はスマホでコンテンツを作ってスマホアプリでアップロードしてスマホアプリでシェアするというのが主流になりつつあります。

ということは、上記の年齢層の変遷で示したようなどっか行っちゃった10代の若い子たちは、そういった最新のコンテンツプラットフォームを使って別の畑で活躍しているのではないか?と思って、簡単に調べてみることにしました。
つまり、「10年前にニコニコに夢中だったひとたちが居たように、今彼らがニコニコの代わりにハマっているものは何?」という考察です。

これを理解することで、「今の若い子の傾向」を掴み、クリエイターの方のコンテンツの発信方法とか身の持ち方を考えるヒントになればいいかなぁと思います。

10代に人気のWebサービスとかアプリとか

簡単に調べて、どういうコンテンツのときどういうものを使うのか、というのをざっくり想定してみました。

コミュニケーション: LINE、 twitter

まずインターネットを使ったコミュニケーションですが、こちらは20代も10代もLINEとTwitterではないかなーと思います。

LINE

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Twitter

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ただ、傾向として若い子はLINE寄りじゃないか?というのがいくつか本を見てみてなーんとなく思い当たりまして、というのはtwitterは炎上リスクが高すぎるというのがあると思うんですよね。

LINEはグループ機能によりクローズドなコミュニティが形成できるので、少し誰かの悪口とか少し悪いことの話をしても誰かの目に留まることはないのですが、twitterだとちょっと不用意なこと行ったら20代の怖いお兄さんお姉さんに袋叩きにされるじゃないですか。

自分たちとしては好きな様にお話したいだけなのに、第三者の監視の目が常に光る場所なんか使いたくない、という話で、だったらtwitterなんて怖いモノ使わないかなー、と思うはずです。

「いいや、悪いことしてネットでバラす馬鹿の自己責任」とお思いのそこの怖いお兄さんお姉さん、あなたではなく「彼らがどう思っているのか」がこの先重要なのです。

音楽: YouTube, nana

音楽ですが、一旦マナーとか権利とか置いときますとYoutube検索すればタダで聴けるんだからわざわざ買わなくていいじゃんっていう考えは当たり前にあると思って良いでしょう。

YouTube

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また、カラオケも近年パブリックな感じで、nanaを使うと歌って発信してインターネットでシェアできる時代になりました。

nana

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さて、話を戻しますとYoutubeもnanaも権利関係でかなりブラックであり、著作権者の許諾を得ずにアップロードされる音源が後を絶ちません。これは教育システムの側面もあると思いますので、若い子個人個人に対して責任を問うのは個人的には無粋だと思っています。

さて、クリエイター的にはこのモラルハザードを一体どうする?というのが直近の課題になるかと思いますが、まず「nanaの権利関係なんとかしろ」はもう流れが大きすぎて無理な感じがします。

例えばユーザー数ですが既に150万人を突破しています(音楽アプリ「nana」が躍進、累計再生数は5億回、ユーザ数は150万人を突破 – THE BRIDGE(ザ・ブリッジ))。島村楽器がnanaとコラボしたりしているのでビジネスとしても意味のあるモノになっています(島村楽器 と 音楽コラボレーションアプリ『nana』を提供する nana music が業務提携 – 世界と音楽セッション!音楽の楽しさを 1人でも多くの人に – – プレスリリース – 島村楽器)。
あとnanaはコミュニケーションアプリなので、「音源を適当にマイクで録音した雑なカラオケ上げんな」と言われてもお前の考えは訊いてないとなるのが関の山です。音声を上げて誰かと繋がるのが彼らの目的であって、作者の権利を尊重することはユーザーの目的ではありません。

さて、これと似たようなことが結構前にあって今も問題になっています。そう、海外サイトやファイル共有ソフトによる違法DLです。

これについてはいいケーススタディがあります。
バンド「アイアン・メイデン」が違法DLが多い国に行ってライブを行って売り上げるという逆手に取ったワザを適用した例です。

英ロックバンドのアイアン・メイデン、ビッグデータを活用したユニークな手法で違法ダウンロードに対処 | All Digital Music

何が言いたいかというと突っぱねるんじゃなくて上手く協調する手段があるはずということです。近年は音楽サブスクリプションサービスも沢山出てきて、コンテンツ単体の激安化は歯止めが利きません。モデルからひっくり返るのは間違いないでしょう。

そんなとき、じゃあどうすればその当事者である今の若い子たちを振り向かせられるのか?というのは大きなテーマになってきそうです。少なくともいきなり上から道義的な話を延々説教してくる20代30代の攻撃的な人がやってきたら、彼らからしたら相手したくないですよね。

たとえば先に上げた島村楽器とnanaの提携の場合、「高音質でnanaの音源をアップロードするのはいいことだよ」という方向でセミナーを行い、巧いこと「彼らの利益」という観点での啓発を行っているように思えます。
たぶん彼らだってやりたくて粗悪な音源をアップロードしてるわけじゃないと思うんですよね。

動画: Youtube

はい、気になる動画ですがニコニコより明らかにYoutubeです。

YouTube

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理由は言うまでもありません。ニコニコ動画はわずらわしい会員登録が必要で、画質が悪くて、怖いコメントがすぐ目につく所(動画の上)にあって、シークバーを先に送れなくて、画質を良くしようとするとお金を払う必要があるからです。要するに最初からYouTubeが高画質・多機能な時代を生きる彼らからしたらとんでもなく不便なんです。

お金がない時代に生まれ、先に上げたように「炎上ですぐ引っ叩かれる時代」に生まれてしまった彼らが、わざわざ画質の悪いニコニコに会員登録してまで入ってくるでしょうか?それよりアプリDLしたらタダで即綺麗な動画観れるYoutube使いますよね?という考えです。

じゃあ今日のボカロ文化を創りあげているニコニコに入ってこないと、ボカロ分化と分断される?とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。大丈夫です無断転載されまくってます

彼らの探す音楽はメジャーインディーズアマチュアの垣根なく、「YoutubeとかVineとかTwitterで偶然見っけた」というのがきっかけになることが少なくないようです。Youtubeから口コミで人気になった人は少なくありませんし、Youtuberたちは一般メディアを介さず富と名声を手にした時代の寵児です。

となると本質的にいいコンテンツがそこにあれば誰がアップロードしてるかは問題ではないというのがユーザー視点だと見えてきます。

残念ながらやっぱり権利的にはNGですが、さてどうしましょうか。少なくともやはり彼らに説教して周るのは建設的であるとは言い難いです。なんとか人気なり金銭に変える手段があれば、権利関係のあれこれを黙認するメリットも出てきそうですが。

とりあえずパッと思いつく範囲だとボカロPがニコニコを捨てて、YouTube上でブランディングするというのはアリだと思います。YouTubeのほうが海外ユーザーへのリーチも圧倒的に早いですし。

動画発信: Mixchannel

最近非常によく見かけるのが動画を配信するという形態。これについてはプラットフォームもたくさんありますが現状Mixchannel(ミクチャ)抜きに語れないくらい大きくなっています

ミクチャのユーザー数は右肩上がりで、それこそ開設当時のニコニコ動画の様相でコミュニティが拡大を続けています。

ただの「キス動画サイト」じゃない!今や高校生の3人に1人が使ってるMixChannel(ミクチャ)がすごい (1/2)

Vineが6秒に対してミクチャは10秒の動画を上げられます。本当にそれだけなんですが何しろユーザー数がもうほぼ全員10代といっていいくらい偏っているので、他のサービスと比べて圧倒的に始めやすいですし、「みんなやってる」という効果も後押ししています。
twitterで高校生がなんか楽しそうな動画を上げているのをご覧になったことがあるかと思いますが、基本的にミクチャ由来と思って良いと思います。

つまり、10代の若い子は当たり前に複数のSNSを使い分けする能力があります。twitterにへばりついているだけのアラサーよりよほど上手くネットを使っていると考えるのが良さそうです。

また、最近テレビCMで話題を集めているゴルスタ。こちらはトーク、悩み相談、映像授業といった総合コミュニティプラットフォームみたいなやつです。

これ、機能だけ見るとLINEとかスタディサプリとかInstagramとかツイキャスとかの寄せ集めなんですけど、「学生限定」で10代の子だけを囲い込んでいるところが素晴らしいと思います。

……と思ってたら運営が乱雑であっさり終了。サービス自体はそう悪いもんじゃないと思っていたので、残念です。

というのは、さっきから何度も言ってますが20代30代のインターネットの大先生の怖いお兄さんお姉さんが因縁つけてくるのを防げるじゃないですか。制限されたコミュニティで騒げる安心、みたいな。

もちろんこれはこれで対人関係で色々課題はあるんだと思いますが、最初に述べたLINEの例もそうですし、若い子向けのコミュニケーション系アプリは「オープンになりすぎることで第三者の監視から逃れられない」という近年のインターネットの負の面を上手く避けているのかな、といった印象です。

ビジュアルコミュニケーション

さて、ここまでに述べてきたものはほとんど文字を使わなくてもコミュニケーションが成立するという特徴があります。LINEの場合LINEスタンプで感情もメッセージも表現できますし、ミクチャは動画共有なので言うまでもありません。nanaは音声ですね。

こういう「文字を使わないでインターネットでコミュニケーションを取るツール」というのを「ビジュアルコミュニケーション」と呼んだりするようです。印象としてはなく、広告代理店の分析でも明らかになってきています。

若者がよく使うSNSのトレンドは文字からビジュアルへ – 電通報

本記事でここまで紹介したものは日本の10代の子を中心として捉えてみましたが、「日本の10年先を行く」と言われるアメリカでは、InstagramやSnapchatといったビジュアルコミュニケーション向けのアプリが大流行しています。具体的にはInstagramのユーザー数はtwitterのそれを上回っています。

Instagram’s user base grows to more than 500 million | Reuters

Snapchatはアクティブユーザー数でtwitterを追い抜いているという情報もあります。

Snapchat Passes Twitter in Daily Usage – Bloomberg

Snapchat Inc. has 150 million people using the service each day, said people familiar with the matter. That makes the four-year-old messaging app more popular than Twitter Inc. by daily active users.

で、日本の場合ミクチャがそれを担っているほか、Instagramが流行しているのは言うまでもありませんし、Snapchatも少しずつ浸透していくことでしょう。

冒頭に述べたようにCGMが定着して、スマホとSNSが上手くくっついて根付いて、というのを背景にして、若い子はビジュアルコミュニケーションを土台にしてスマホを使いこなしている……というようなのがなんとなく見えてきました。

おわりに

今の10代の若い子たちは、ニコニコのような成熟したメディアからは離れて、スマホで完結するコミュニケーションツール、特にビジュアルコミュニケーションに特化したアプリを使いこなして上手くインターネットと向き合っている、というのがなーんとなく考察できました。

また、LINEやミクチャといった半クローズドなコミュニティが得意なアプリを使って、「めんどくさい大人たち」から距離を置くような振る舞いをしているようにも思えました。

あと共通するのは道義的な正しさが後回しという点でしょうか。これは道徳教育がどうとか最近の若いもんはとかそういう話ではなくて、単に本記事ではそういう空気にもうなっちゃってるけどさてどう歩み寄ろうかという検討段階の話です。

さて、本記事でまだ拾えてないのは創作活動を支援するプラットフォームとしてニコニコの代わりは何?という話です。これについてはキッカケの掴み方自体はそう代わってなくて地道なPRが重要なのは一緒なのですが、とりあえずニコニコ黄金期と比べて圧倒的にプラットフォーム自体が増えています
参考: これだけ抑えればOK、イマドキのクリエイターが作品や自身を売り出すサービスまとめ

少なくとも、「これが流行ってるぜ!」みたいな決定的なサービスが今あるかって言ったらそこまで大きく変化してないように思えました。代わりに、いろんな発信・販売向けプラットフォームがどんどん出てきて出揃った感があります。

一方で、YouTubeやnanaの隆盛によってアプローチの仕方は全く変化しているのでというように感じます。自分の権利を一方的に訴えるだけでは煙たがられて終わりです。いや、製作者おいてけぼりにして勝手に流行の道具にされるのが気に入らないお気持ちはわかりますが。

で、何を伝えたかったのかというと、若い子のネットの使い方を馬鹿にした時点であなたは遅れを取り始めているから、理解するように努めたほうが良いということです。今の10代のひとたちは本当に色々最新技術を使いこなして新たな文化を作り始めています。

インターネットが生活の一部として当たり前に存在する今、それを使いこなす最先端に居る彼らを理解することが、今後我々がクリエイティブな活動を発信していくにあたって重要なのではないでしょうか。

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