ありんこ書房

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アイデアの本質を理解する1冊。「アイデアのつくり方」を読みました

   

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「60分で読めて一生使える本」という触れ込み。本質を述べた名著です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

創作が好きな皆様は、イラストの構図、ギターリフ、ゲームのシステムなどのアイデアが「降ってくる」のを待っていることかと存じます。
……が、結論、アイデアは降ってくるものではなく組み立てるものであるということをこの本は示していました。

いつまでも降ってくるまで待ってたって何も起こらないってことですね。それはあまりにも寂しいので、
本記事ではジェームス・W・ヤング著「アイデアのつくり方」をさっくりお話してみます。

なんと訳者解説を抜くとたった62ページの本です。おまけに初版が1988年。でも未だに通用する内容が凝縮されています。

アイデアを作る

著者ヤング氏は、最初に「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と断じています。

そして、そのアイデアを作り上げる方法は原理に基づいていて修練ができるとも述べています。この本は、その修練のための5つのステップを非常に簡潔に解説したものになります。

  1. 資料の収集
  2. 資料の咀嚼
  3. 資料の消化
  4. 1~3からの、アイデアのひらめき
  5. アイデアの整頓

……一見簡単ですよね?でも実践することはなんと難しきことか!とも思いました。何が難しいのか、その感想を以下で述べていきましょう。

段階1: 資料の収集

まず膨大な量の資料を収集しろとあります。これについては、例えば特許なんかはシンプルな既存の仕組みの組み合わせから新しい応用特許を考えつくように、「既存の要素の組み合わせ」から生まれるものが多いです。

また、新たな科学的発見も、既存の知見から応用して生まれるのが、特にいろいろと分かってきた現代だと顕著ですね。

ヤング氏は広告業界の人ですが、広告のアイデアも同じように、まず膨大な量の資料の収集から始まると結論しています。

これについては、デザイナーの水野学さんも以下の著書で同じことを述べていますね。

「センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力である」

(p.53より引用)

これの何が難しいか?それは時間的制約ではないかとわたしは考えます。特に現代人は何かと忙殺されがちですので、インプットに効率的に時間を割くにはそれはそれでスキルが必要です。例えば読書だと速読とか。

しかし優れたアイデアの達成にはまず「第1段階」としてこれが必要とのこと。たくさん音楽を聴く、絵を見る、本を読む、というのは本質的に重要であることが理解できます。

そして、ヤング氏が本で指摘するように、この段階はおざなりにされることが多いので、今からでも習慣づけるとそれだけで差がつけられるシンプルかつ重要なポイントであるとも言えるでしょう。わたしは分析思考タイプなのでそこんとこ有利です

五つの中の第一の段階は資料を収集することである。
これは至極単純明瞭な真理にすぎないと諸君は驚かれるにちがいない。にもかかわらず実際にはこの第一段階がどんなに無視されているか、これまた驚くばかりである。

第2段階: 資料の咀嚼

次に集めた資料を理解します。食べ物で言えば持ってきて口に入れるのが第1段階、咀嚼するのが第2段階です。

ひとことで言えばこの段階は「情報の関係性を見つけること」にあると述べられています。大量の情報は一見関連がありませんが、「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」という前提に立つと、この工程は非常に体系的にアイデアを抽出する手段であると言えます。

さて、この本の初版は88年、今と違って便利なツールがありませんでした。しかし、今はあります。活用しちゃいましょう。

大量に集めた脈絡のない情報を真正面から整理するのは非常に大変ですが、今は体系化されたツールがあります。
具体的には以下の2種類を活用するのが良いでしょう。

マインドマップはやり方が結構奥深く、ガイド本も結構揃っています。これをマスターするとだいぶアイデア整理が楽になります。逆に何も使わないと頭がこんがらがってイヤになってきますので、こういう道具の活用は重要です。

参考ツール: マインドマッピングソフトウェア – オンラインでブレインストーム

第3〜4段階: 消化→ひらめき

第2段階を辛くもやり遂げたとき、第3段階に移行します。
食べ物で例えると胃袋に入った状態。この状態は資料から離れることを推奨されています。すると、あるタイミングで「ひらめく」、すなわち降ってくるという現象が起こる……という寸法です。

この第三の段階にやってくれば諸君はもはや直接的にはなんの努力もしないことになる。諸君は問題を全く破棄する。そしてできるだけ完全にこの問題を心の外にほうり出してしまうことである。

我々はアイデアマンのこの部分しか見えないので、何か勘違いしてしまっていたというわけですね。実際は外堀を埋めるのに膨大なリソースを費やす必要があるのは、ここまでお話したとおりです。

さて、これについては聡明な読者の皆様なら経験があるかと思います。そう、よくわかんなくなったので寝たら翌朝ひらめいたというやつです。

睡眠を取ると脳が記憶を整理し始めるので、大量の情報を突っ込んで、関係を整理して、と思考しまくったお陰であとはバックグラウンドプロセス的になんとかしてくれる……らしいです。

(参考: 勉強の成果を記憶させるには睡眠が不可欠と脳科学で判明 – ログミー)

これに限らず、詰まったら問題から一時離れる、いわゆる気分転換が集中力や忍耐力の観点でも有効なのは、直感的に理解できますね。

ただここで甘えては行けないと思いましたのは、第2段階をやり遂げた前提であるというところ。なんとなくインプットしたフリをして途中で止めることのないように気をつけなくてはいけませんね。

第5段階: アイデアの整頓

さて、アイデアなんですが、これはヤング氏が広告マンである=ビジネスに活かすネタでなくてはならない、という観点から来ているかと思いますが、どうしようもないアイデアだったら無意味なので整頓するという段階が最後に必要なようです。

創作においてもそうで、どんなに自己満足的な絵や音楽であっても、公開する以上必ず受け手が居るというのは事実です。これを無視してしまうとゴミアイデア量産機になってしまいます。

わたしの考えですが、コンテンツそのもののアイデアはもちろんですが、コンテンツの周りの環境に対してアイデアを張り巡らせるのが見落としがちですが非常に重要なように思えます。

というのは、今の時代、情報もコンテンツも過多なので、「いい」だけでは実は優位性として弱くて、埋もれてしまうんですよね。

特に音楽なんて市場調査もなしに唯一無二のサウンドとか言っても絶対どっかと被るのがオチですから、キャラクター性とかSNSの活用とか、もっとマーケ方面でユニークな行動を取ると良いんじゃないかと思ったりもします。その結果受け手にヒットすればみんな嬉しいですよね。

(参考: 難しいこと考えないで読める、音楽の素晴らしい読み物オススメ3冊)
(参考: ひねくれ者のアナタも考え方をひっくり返される驚きの本4冊)

まとめ

事細かに説明しましたが、結局最初に述べた5段階の実践によってアイデアは形作られる、という、シンプルながら本質的な内容を述べた名著でした。

  1. 資料の収集
  2. 資料の咀嚼
  3. 資料の消化
  4. 1~3からの、アイデアのひらめき
  5. アイデアの整頓

しかしこの第1〜3段階をもれなくやり遂げるのが難しいです。どこをもってゴールと見なすのかの見極めがよくわかりません。

一方で、これをしっかりトレースできれば、センスや「降ってくる」というオカルティックなものに依存せず、体系的に優れたコンテンツを作れるようになるのではないかという期待を得ることができました。

「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」。クリエイターの皆様は、自分の作れるものに何を組み合わせて、新しいコンテンツを生み出すのでしょう?

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