ありんこ書房

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音楽の宣伝にtwitterの140秒動画は効果的ではないと考える3つの理由

      2016/06/25

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最初は「おっ、いいかも」と思ったんですが、冷静に考えると宣伝には使いにくいです、140秒動画。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

twitterに140秒動画が投稿できるようになった

2016年6月21日、twitterから動画の長さが最大140秒に設定できるようなアナウンスがなされました。

Twitter上での動画の閲覧が新しくなります | Twitter Blogs

従来は30秒が限度でしたが、これによって3倍以上の140秒(2分20秒)まで動画コンテンツを投稿できるようになりました。twitterで演奏動画などをアップロードする方も結構いらっしゃったので、これは表現の幅が広がる、と期待が高まります。

さて、以前わたしは宣伝方法考えようぜ、みたいな記事を書きました(→ 【twitterで作品の宣伝するにしても、少しはそのtweetの内容ややり方自体を考えてみようか。】)。ここで少し30秒動画による音楽の宣伝はどうだろうという話もしたのですが、これが140秒になるとどうでしょう。なんとワンコーラスくらいの尺ならそのまんま上げられます

ということは、リンクをクリックする手間を省いて、よりスケールの大きな宣伝tweetができるのではないか……?と考えられます。
……が、冷静に考えて見て140秒じゃ駄目だと思ったので以下に考察を述べておきます。

140秒動画が宣伝に使いにくい理由

Vineは6秒、最近中高生で流行っているMixChat(ミクチャ)が10秒。Snapchatも10秒くらい、twitterは標準30秒です。
これらの動画投稿コンテンツと比べると140秒だからこそめんどくさくなるポイントがあって、それは宣伝の時露骨に欠点になりえると考えました。

問題1: 長すぎ

twitterはリアルタイム性が売りであり、数百人フォローすると多種多様な呟きがどんどん目に入ってくるのが特徴です。
で、Vineの6秒ならほんとに一瞬なので、「ぱっと見てタイムラインに戻る」ということができるのですが、これが30秒だと少々長く感じられて、140秒だと長過ぎるんです。

長過ぎるというのはどういうことかというと、リアルタイム性を犠牲に140秒拘束させられるってことです。
よく考えてみてください、よほどコンテンツに特筆すべき事項がない限りどう考えても最後まで見てられませんよね。「動画をクリックする」という作業は「タイムラインを流し読みする」という作業の一部ですから、面白くなかったらさっさとタイムラインに戻りたいですよね。

で、以前の記事でも言いましたがtwitterでダイレクトな宣伝をするのはマーケじゃなくてセールスなので、これでは30分喋り続ける飛び込み営業マンと一緒です。営業マンと違うのはお客の側がタイミングを問わず一方的に強制終了できることです。ほら、不利でしょう。

というわけで、何も考えずに楽曲を搭載した動画を投下するだけでは聴いてもらえない可能性が高いと考えます。労力の割に得られるパフォーマンスが低すぎます。

問題2: 耳が慣れる

どういう意味かおわかりになりますでしょうか。

19世紀半ばに宣伝手法として用いられていた心理学の効果に「サブリミナル効果」というものがあります。

サブリミナル効果 – Wikipedia

1990年代にサブリミナル効果は怪しげな研究分野と見られていたが、2000年代に入ると興味深い実験が行われ、限定的な状況下では実験による効果が確認された[11]。例えば、ヴィカリの実験のように瞬間的にコーラという単語を見せても効果はないが、アイスティーの銘柄であるLipton Ice(リプトンアイス)という単語ではサブリミナルの影響が確認された[11]。瞬間的に単語を見せることによって、飲み物の中からリプトンアイスを選択させることができたのである(購入させたわけではない)。

よくある「一瞬だけ何か見せて二度見のような心理を誘う」というやつで、19世紀は「サブリミナルを使うと購買に誘導できる」と考えられていたようです(実際はそうでもなかったみたいですが)。
90年台の時点では相当欺瞞的な手法だったんですが、最近は限定的状況で効果があると言われています。

さて、Vineの6秒動画の強みはこのサブリミナル的な部分にあると考えておりまして、面白いコンテンツにしろ内容を把握しない内に終わるというところがポイントなんじゃないかと思います。
で、閲覧者の熱量が高いうちにRTなりFavされる、というような。

これが140秒動画になると閲覧者に冷静に吟味する隙を与えてしまうと思うんですよね。例えばワンコーラスをそのまま上げる場合は、冒頭10秒聴いてみて面白くなかったら閉じる、みたいな。「これあと100秒も聴いてられるかよ」と評価する猶予を与えてしまうわけです。

6秒や30秒であれば落ち着いて考える前にコンテンツが終わりますので、「驚き」の成分だけを閲覧者の印象として残したままにできるのです。140秒で中途半端なことをすると、テンションダウンした段階の印象が閲覧者に残ってしまうので「あんまりRTしたくならない」みたいな気分になるような気がします。

問題3: 情報が多すぎる

こちらも心理効果で言われていることで、ある期間内に終わらせないと行けない仕事があったとき、その期限をフルに使う傾向がある、というのを聞いたことが有ります。
動画コンテンツも同じことが言えるのではないでしょうか。

6秒であれば、6秒の制限で最大限効果を出す、30秒であっても同じでしょう。そして140秒与えられると140秒分の表現をするのが心情だと思います。確かに与えられた枠なので最大限活用するのは良いことだと思います。

しかしこれが閲覧者目線だとどうでしょう。情報が多すぎる気がします。
前述の例のようにワンコーラスをあげたら、イントロ、Aメロ、Bメロ、サビやギターリフなど沢山上がってくるわけですがtwitterで即座に聴くものとしてポイントがわからないのは致命的です。

Youtubeなんかは見たい人が見に行くから「Short ver.」みたいなのが通用するんだと思います。twitterは図らず相手に目に入れるという点で決定的に違いますので、とにかくコンパクトに驚きを提供しないことには宣伝にならないのではないでしょうか。

むすび

情報量が多すぎたりtwitterの即時性に大して長ったらしかったりするので、駄目というより使うのが非常に難しいという印象を苦言のような構成でまとめてみました。140秒動画それ自体には可能性を感じているのですが、個人的には無理して140秒フルに使わないほうがいいと思います。

この記事を書こうと思い立ったのはテレビCMが15秒や30秒で要点を伝えきっているからです。
無駄な情報を徹底的にそぎ落としてコンパクトに必要な情報だけを一気に提供する、こうすることで「良い余韻を残す」のがポイントなのではないでしょうか。

もちろんテレビCMも不快な構成だと「不快感」だけが前面に残るのはなんとなくみなさんもおわかりかと思いますので、短時間宣伝というのはそれはそれで難しさが有ります。

ファーストフードも、一口目でおいしいと思わせるために若干塩辛い味付けになっています。リアルタイム性の高いSNSで求められる宣伝はそういうスタイルなように思えます。

という具合に、Vineの6秒や従来の30秒動画をベースに考えるのが良いと考えましたが、皆様はいかがでしょうか。
「いいやそんなことない、140秒動画にはこういう可能性がある」という考えがありましたらお寄せ下さると幸いです。

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