今さら訊けない、ラジオボイス(篭ったような響きの音)の作り方と切り替え方

なぜかあまりパブリックになってない、2番のAメロとかで使えそうな「篭ったような、遠くから聞こえるような音」の作り方です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
初心者の皆さん、参考にしたい曲に「なんかボーカルが篭ったような聴こえ方になって、Bメロで解除されて一気に弾ける」みたいなのって聞いたことありませんか。
で、あれかっこいいので真似したくなりませんか。具体的例としては、妖精帝國の「空想メソロギヰ」のBメロ(0:36〜)みたいなやつです。
で、これどうやって作ればいいの?という話なんですが実は超簡単なのでさっと共有しておこうと思います。
ラジオボイスの作り方
やり方は簡単、特殊なEQをかけるだけです。
EQ処理
以下の画像のようなEQをかけてください。Cubaseのデフォルトでも良いですし、フリーの例えばVoxengo CurveEQのような高機能のものを用意してもよいでしょう。
値は以下の通りです。この通りにやると大体画像のような形のEQカーブになるはずです。
- ローパス: 120Hz、Q0.9
- ハイパス: 2310Hz、Q0.91
今回の素材はドラムループなので、スネアのスナッピーのあたり〜金物がある4kHzより上がカットされるような感じになります。これが「抜け」を阻んで篭った感じを出してくれます。
ローパスはオケとなじませたときに混ざりにくくなるので適当にかける必要があります。実はラジオボイスのモコモコ成分は低域あんまり関係ないので普通のミックスのように削っただけです。
という具合に、スネアであれば胴鳴りだけ残してスナッピーを殺す、みたいなことをして、あの「篭った感じ」を出しています。
また、さきほどの「空想メソロギヰ」などのように薄くディストーションかオーバードライブを挿して歪ませても良いでしょう。これについては、迫力が出るのでボーカルなどにおすすめです。
ラジオボイスの切り替え
さて、これでラジオボイスにすることができたんですが、常時ラジオボイス状態になっちゃったら駄目なので、切り替えができるようにする必要があります。
これについては、Cubaseを始めとして様々なDAWで使える「オートメーション」機能を使います。
まずはじめにオートメーションを有効にします。Cubaseの場合は、トラックの横にある「R」「W」のマークを有効にして、オートメーションを読み書きできる状態にするとOKです。
で、つまづきやすいのはオートメーションの記録の方法なんですが、「W」を押した状態で変化させたいパラメータを実際にいじることで、操作できるパラメータが増えます。
ピンとこないかもしれないのでやってみましょう。
今回の「ラジオボイスの切り替え」の場合、オン/オフの切り替えができれば良いので、EQのバイパスのオンオフが操作対象になります。
というわけで、さきほどの「R」「W」が有効になった状態でトラックを再生しながらプラグインのバイパスボタンを押してみて下さい。
適当に押した後、トラックの再生を停止して、トラックを右クリック→「オートメーションの表示」を押すと、オートメーションの操作トラックが出てきます。
このとき、「ボリューム」と書いてあるところをクリックするとBypassが出現しているはずです。
上手く行かなかった場合は、「W」が有効になってなかったとかだと思います。あとバイパスボタンは何回か押したほうが良いかもしれません(おまじないですが)。
有効にできましたら、あとはオートメーションをマウスで書き込むだけです。バイパスは「オン(1)」と「オフ(0)」しかないので、以下の画像のようなオートメーションの切り替えになります。
紫の線が上にあるときが「バイパス(ラジオボイスじゃない)」、下にあるときが「有効(ラジオボイス適用中)」です。
これで、ラジオボイスを有効にするEQをセットして、それを切り替えることができるようになりました。
ドラムループに実際に適用してみたのが以下の作例となります。前半がラジオボイスになる前、後半がラジオボイスになった後です。
Listen to Radiovoice Test byArisaka on hearthis.at
まとめ
簡単ですね。特殊なEQをかけると篭った音が得られるので、あとはそのまま使うなり歪ませるとラジオボイスになります。オートメーションでバイパスを切り替えればオンオフも簡単です。
言うまでもないですがオートメーションの性質上波形にかけないといけないので、MIDI打ち込みで制作している段階だと適用できないのは注意して下さい。
個人的には「初心者がやってみたいけどイメージを形にできないやつ」の筆頭な気がするので、なんとか皆様のクリエイティブな活動の手助けになれば幸いです。