ありんこ書房

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音楽レビューマガジン「R3 Magazine」の企画に見る、「同人音楽雑誌」という可能性

      2016/10/08

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「音楽雑誌」はCD不況と謂われるこの時代でもたくさんあります。同人音楽にもあってよいのではないでしょうか。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

音楽雑誌というカテゴリ

音楽が好きな皆様、「音楽雑誌」という雑誌のカテゴリはご存知でしょうか。
その名の通り、音楽を楽しむのに特化した雑誌のことです。

もちろんサブジャンルはたくさんあり、

  • ロックやメタルなどのジャンルに特化した雑誌
  • アイドルやヴィジュアル系などのキャラクターで分けた雑誌
  • クラシックやジャズなどの歴史が長い音楽を掘り下げる雑誌

のように、まさに音楽の聴き方が無限であることをこのカテゴリの多さでしめしてくれます。

そして、音楽雑誌の最大の効果は、
「特集を見るなどして知らない音楽を知る」ことでしょう。
つまり、バンドの特集を見てYoutubeを検索してみたりだとか、
フェスの情報を調べてみたりだとか、そういった「未知の音楽への導線を得る」という
メディアとして、インフルエンサーとしての大きな役割を、音楽雑誌は持っています。

それでは、最近盛況である「同人音楽」に当てはめてみるといかがでしょう。

同人音楽における「導線の確保」における問題点

結論を申し上げますと、未知の同人音楽を知る手段は極端に少ないです

最近、インターネット即売会「APOLLO」というイベントが
開催され、賑わいを見せています。

APOLLOの目的は、まさに上記に上げました未知の音楽への導線を確保することです。

ネット同人音楽即売会「APOLLO」 第2回 開催!発起人・AnitaSunさんが語る、APOLLO開幕の秘話&新機能とは! | pixiv Spotlight

:
同人音楽業界はこれだけ大きな影響を与えるくらいに成長しました。一方で、急激な拡大や情報源の不整備などから、東方やVOCALOIDなどの各人気ジャンルで、停滞論のような意見がものすごく広がった時期があったんです。ちょうど2013年の後半ぐらいからですかね……。
そのころから、私が運営している「同人音楽超まとめ」と、APOLLOのようなものの構想はすでにありました。とにかく、同人音楽の「入口」になるような情報源が必要だと感じていました。

──Youtubeやニコニコ動画、SoundCloudなどのサービスを利用しなかったのはなぜでしょうか。

そういった検索型のサイトですと、どうしても「知らないアーティスト」にたどり着く導線がないんです。
:

APOLLOは「大量の音楽を聴くのに特化したUX」「簡単に購入できる仕組み」を合わせ
未知の音楽に簡単に触れる機会を作り出しました。これは素晴らしい試みです。

しかし、APOLLOの第1回が開催されたのがたった1年半前の2014年11月。
この素晴らしい試みがカタチになったのは本当につい最近のことだったというわけです。
どうやら、未知の同人音楽を知る手段がそもそも用意されない状況が常態化しているようなのです。

「知られない音楽」が無尽蔵に増えていく恐怖

聴き手が導線を失うことにより、聴く機会が相対的に減ると
良い作品を作る方が埋もれ、モチベーションが下がり創作を止めてしまうかもしれません。

今後インターネットが更に発達し、作曲環境がより簡単になり、
誰でも簡単に音楽を創り、発信できるようになる時代が加速します(というか、もうなっています)。
それに比例して、「聴かれない音楽」もまた爆発的に増えていくことでしょう。

情報の洪水に埋もれて淘汰されるのを是としてしまい、
一部のマーケティング力とコミュニケーション力やコネクションに秀でたひとたちだけが
作品を認めてもらえるような状況を、わたしは歓迎しかねます。

そのため、創り手の負担なく「未知の音楽を聴いてもらえる機会」を与える手段が
同人音楽の界隈にまだまだ必要ではないでしょうか。

小難しい話をしていますが、「おめーら聴いてほしいんだろ?あ?」という意味です(?)。

「同人音楽雑誌」という可能性

ここで、最初の話「音楽雑誌というカテゴリ」に話を戻してみましょう。

「同人音楽に特化した音楽雑誌」があっても良いのではないでしょうか。
そして、APOLLOのような人とお金がかかった大掛かりな取り組みではなくても、
同人の本質から考えて、なければ作れば良いのです。

VOCALOIDを使った楽曲を始めとしてマルチに活動されているタチやん(@mofday)さんは、
「R3 Magazine」という音楽特化のマガジンを企画されており、まさに上記に上げた取り組みを始められている段階です。

R3 Magazine

レビュー、コラム、広告とまさに雑誌の形態をとっています。

素晴らしいのが、レビューは推薦、広告は自薦、コラムはTips、というように
創り手視点で嬉しいコンテンツに特化しているということです。
このような本を作ると独り善がりになってしまいがちなので、しっかり分析されていることがわかります。

現状、同人音楽のレビューは個人サイトやtwitterなどのSNS(こちらも個人)に大きく依存しており、
「いい音楽の情報」を体系的に第三者に拡散する方法が偏っています。
この試みは、それを一手に引き受け、集約する手段として最適だとおもいます。

雑誌という形式が持つ利点

R3 Magazineのようにレビューを土台とした音楽の紹介が強力なのは、
レビュアーによる「おすみつき」(信頼性)がトップに来ているという点です。

「戦略PR」という書籍で、著者の本田哲也さんは以下のように分析しています。

(「新版 戦略PR(本田哲也)」第2章 カジュアル世論が消費者を動かす サントリー「ハイボール」の成功例 より引用)

:
言い方を変えれば、カジュアル世論の形成プロセスに必要なのは、「公共性」、
「偶然性」、「信頼性」の3つだということだ。実際、僕はこれまで数多くの「カジュアル世論づくり」
を手かげてきたけれど、プランニングでも実施段階においても、
常にこの3つを頭に置いて仕事をしてきた。もっといってしまえば、
3つすべてが同等に重要で、どれかが欠けたら成功が遠のく。
:

簡単にいうと、「知ってるひとのオススメだから、なんか良さそう」とおもうあの感覚です。
APOLLOはこの観点だと、「公共性」と「偶然性」の2点で非常に尖っており、
twitterによるシェアで「信頼性」を確保しているようなUXを仕上げていました。

一方、レビューを柱にした雑誌の場合、レビュアーの言葉という「信頼性」依存の要素が一番ウェイトが大きく、
それに、手にとったひとが偶然音楽を知る「偶然性」が重なってくるようなイメージです。

形態やアプローチが違えど、目指すものが同じであることが考察できました。
したがいまして、R3 MagazineとAPOLLOは、
ともに同じ目的を備えた上でPRの本質的要素を共通して揃えたメディアであると考えたのですが、
いかがでしょう?

仮にそうだとすると、不足するのは「信頼性」を担保するレビュアーやコラムニストの存在です。
APOLLOと異なり、R3 Magazineはタチやんさんの同人ソロプロジェクトですので
リソースが当然不足します。この記事を読まれた皆様やフォロワーの方の協力が必要不可欠です。
「広告の広告」も当然必要でしょう。

うまくやればおもしろい角度から「未知の音楽を知る導線がない」問題に
風穴を開けられるのではないか、と密かに期待しています。

まとめ

ちょっと大袈裟に書きすぎたきがしますが、おもしろい企画だなーとおもったので書きました。

わたし個人はインフルエンサーといえるほど影響力がありませんが、
この芽を簡単に枯らすわけにはいかないと考えましたので、
同意と共感の意味を込めて勝手に宣伝しました。

興味の湧いた方はタチやんさん(@mofday)にリプライなどでご連絡するか、
わたし経由でも取り次ぎますので「ありんこ書房」のメールフォームから連絡していただいてもいいです。

R3 Magazine

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