ありんこ書房

今日から使える創作ノウハウ。時々エッセイ。ゴシックカルチャー。

音楽だけで勝負したい同人音屋に薦める、「即売会の外」という戦術

   

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「配信を使え」というだけに見える記事ですが、本質は異なるのでよーく考えてみてください。
物質主義を捨てる、というのは単なる1つの選択です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

音楽だけで戦いたい

まず、「音楽だけで戦えそうな環境」に自分を持って行きましょう。

作るものが多い!

以前、いくつかまとめて「CDジャケットを簡単に作ろう」というテーマで記事を書きました。
→ 【 絵が描けない同人音屋のあなたに贈る、それっぽいCDジャケットを作るためのヒント
→ 【 絵が描けない同人音屋でもできる、それっぽいCDジャケットを30分で作るチュートリアル

で、実はこの記事にはまだまだ抜けがあって、
たとえば歌詞カードの作り方とかDTP周りの寸法テンプレートの作り方・使い方とか、
自主制作であれば必要なものや手順がごっそり抜けています。
なので、まだまだ「めんどくさいなー愉しくないなー」という意識が抜け切れない部分があるかもしれません。

てことで、本記事で真逆のアプローチも考えてみました。

見方を変えてみる

よく考えて下さい。
こんな風に色々必要なのはCDという物質主義のパッケージにこだわるからです。
以前も書きましたが、根本的な原因はCDでパッケージングするという形式に自ら参画しているという事実であって、
別に今の時代他の手段はいくらでもあるので、他のフィールドを使う、という手もあるわけです。

経済学に「ニッチ戦略」というものがありますが、
競合(=美麗なパッケージを仕上げてくる人たち)と比較されないで上手くやるために

  • 競合が存在しないフィールドに行く
  • 競合が居るが、手空きになっているフィールドに総力を集中して一点突破する

というやり方がよく知られています。

というわけで、同人即売会というCDパッケージが基本のフィールドを一旦やり過ごして
別の場所で注目されるにはという観点で以下にまとめてみました。

音楽配信

というわけでもうみなさん予想されている通り配信行っちゃいましょう。
これなら高々iTunesとかに表示される1ページのジャケットだけ作ればいいので、
以前描いた記事だけで十分補完できます。

配信こそ難しくてわからない!と思われがちかもしれませんが、
ソーシャルメディアの時代です、とりあえずwavファイルの書き出しとアップロードのやり方さえ知ってれば余裕です。
同人音屋の皆様なら知らないはずがありませんね。

TuneCore

tunecore
音楽配信の国内最大手は確実にTuneCoreです。

TuneCore Japan

これについて強力なのは、
Prime Music、iTunes、LINE MUSIC、レコチョク、Spotifyなどの有名配信ストアに
TuneCore経由で一気に同時配信できること
です。

聴く可能性があるひとの数が世界中に大量に増えます。
もちろん売りっぱなしでは駄目なので色々宣伝は考えないといけませんが、
注目されるための手段としては間違いなく最強のインターフェースであると言えます。
サービスは有料ですがCD制作費と比べたら全然大したことありません。

重要なのはそこからの宣伝であるというのは言うまでもないんですが、
本記事は手段の紹介のみにとどめておきます。

欠点ですが、VOCALOID関係の作品の販売には向いていません。
TuneCoreは堂々と「ボカロ対応!」という広告を打っていますが(自分のVOCALOID™楽曲を世界中で販売しよう! – TuneCore Japan)、
肝心の最大ユーザー数であるクリプトンボカロに一切許可が出ていないのでビミョーすぎます。

APOLLO(BOOTH、Pixiv)

APOLLO0420
APOLLOは「同人音楽の配信」という機会において最強のフィールドです。

APOLLO(アポロ) – pixiv主催のネット音楽マーケットイベント

参加した方はわかるかも知れませんが、APOLLOの最大の特徴として
参加ブースの音源デモが次々流れるというのがあります。

この特徴のお陰で、ブラウザで別のタブを開いたり絵を書いたりなど
別のことをしながらでも各参加者のブースを回るみたいなことができます。
そう、構造的にジャケットが重視されないのです。

CDを頒布するタイプの即売会だと、最初の情報が100%ジャケットになります。
ネットで宣伝しても特設ページで最初に確認できる情報は音源ではなくジャケットかページのデザインです。
これが、APOLLOだと音源の情報から入ってくるということが可能になるので、
名実ともに「音楽で勝負する」ということが可能になります。

ただし、本記事の主旨からするとかなり困った欠点がありまして、
APOLLOの規約でどこかのタイミングでCDで頒布しないとダメと明記されています。

サークル参加登録ガイド – APOLLO

頒布する音楽作品または音楽関連作品は、ソロ・コンピレーションを問わず、過去・または今後、物理頒布(販売)する予定のあるアーティストの作品であること
1. APOLLOにおいてCD等の物理媒体で音楽作品の頒布を予定しているアーティスト
2. 過去に音楽作品をCD等の物理媒体で頒布したことのあるアーティスト
3. 過去に自身の音楽作品が収録されたコンピレーションが、CD等の物理媒体で頒布されたことのあるアーティスト
4. 頒布経験はないが上記2. 3. の予定があるアーティスト

せっかくのネット即売会になんでやねんと個人的には考えているのですが、
2016年に同人即売会が物質主義に帰着しないといけない理由、何かあるんでしょうか……?


あとbandcampなんかも考えたのですが、
知名度と販路の関係で国内で広報宣伝するのが非常に難しいので除外しています。
海外向けだとSoundCloudとYoutubeが多分強いのですが、調査不足なのでこちらも割愛します。

配信を使うことの戦略上の強みを考えてみた

で、こと同人音楽という場面に限った話で
特に統計的な根拠があるわけではないのですが、音楽配信のメリットを考えてみました。

パッケージが要らないので色々楽

冒頭に書きました通りです。
特に最近太陽誘電がCD-Rの販売をやめてしまったわけですが、
この影響を受けないというメリットもあります。

ケースの検討とか、自主制作であれば印刷や裁断など
地味に膨大なコストと手間がかかる点も省略できます。

音源できたら配信準備して1時間位でさっさと販売できるので、
次の制作に移る時間もあっという間です。これは楽です。

ジャンルによってはブルーオーシャン?

わたしが関心を寄せている「ゴシック系」と呼ばれるシンフォニックロックの同人音楽のカテゴリなのですが、
TuneCore経由で配信の世界に行くと急に激減します。

少なくとも、歌謡曲っぽいキャッチーなメロディ、荘厳なストリングス、激しいギターソロ、
加えてゴシック・ロリータ、少女、悲劇、のようなモチーフは
極めてガラパゴスな疑惑があります(同人上がりのメジャーアーティストも出てきましたが、非常に少ないです)。

これに限らず、もしかしたら貴方の音楽が別の畑だと目立ちやすいカテゴリだったという可能性もあります。
注目される意味では検討の余地が大いにあると思います。

まとめ

というわけで、思い切って即売会から離れて配信という手段に行くのもアリなんじゃないかという話でした。

さっきのゴシック系の例のように、なんとか隙間に刺されば配信から知名度を得てCDパッケージの世界に舞い戻るということが
できるようになる可能性があります(だって音楽がいいことがわかっているのですから)。

もちろん短絡的に考えるのは危険なので、もうちょっと冷静に見極める必要はありますが、
手段として即売会に、CD頒布の形態に頼ることが必ずしも正しいやり方ではないんじゃない?という提言も兼ねてみました。

M3が最初に開催されたのは1998年。ソーシャルメディアもスマートフォンもGoogleもありませんでした。
それどころか、光ファイバーすら普及していない時代であり、即売会の会場に人が集ってコミュニケーションを取り、
作品を注目させるというのが主流の時代でした。

2016年、状況は大きく変わっています。ちょっと様々な手段を考えてみるのもいいのではないでしょうか。


【きょうの参考資料】
最後にちらっと書きましたが、自分が不利な場所を避けたり、あるいは敵が少ない場所を狙い撃ちして
外堀を埋めた後に本丸(CDパッケージの分野)を攻める、というやり方は
ランチェスター戦略という手法の一部として体系化されていたりします。

参考書籍は本当にたくさんあるのですが、この本が章ごとにシンプルにまとまっていてわかりやすかったです。
分量もそれほど多くありませんし、何より全て図でまとめてあるので直感的にわかります。
この手の本にしてはかなり読みやすいです。

ただ、音楽はビジネスと違って「あってもなくてもなんとかなるもの」に分類されるので
色々応用を考えないと一筋縄ではいかないなーというのが率直なところです。難しい。。。

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