ありんこ書房

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難しいこと考えないで読める、音楽の素晴らしい読み物オススメ3冊

      2016/12/22

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まぁまぁたまにはハウツーから離れて。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

「音楽の本」と聞いて連想するものといえば、やっぱり教則本の類ではないでしょうか。
実際大多数はそんな感じで、弊ブログでもギターやらなんやらのカテゴリにわけつつ何度か紹介したことがあります。

(参考記事: 元教則本コレクターが選ぶ、DTM初心者向け最強の書籍6冊)
(参考記事: 初心者向けギター教則本多すぎ問題と、個人的に結論した5冊)

しかし、それだけではなく、音楽のカテゴリだけでもあらゆる範囲に視野を向けてみると、様々な「読み物」が存在します。これらの読み物系の本は、読書体験によってあなたの見聞を広げてくれるものとして役に立ちますし、そうじゃなくても暇つぶしとして使えます(?)。

というわけで、わたしが読んでみて面白かったDTMや音楽に関する本をざっくばらんに紹介してみようと思います。

面白い音楽の本3選

きわめて独断と偏見に基づくセレクトとなっております。

高野修平「始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング」

こちらはマーケティングの本なので読み物というよりもビジネス書です。

土台になっているのは「PR」と呼ばれる手法であり、これを使って「共感」→「共有」→「共鳴」のサイクルの達成と、エヴァンジェリストの育成といった地道なマーケティングに関する話が書いてあります。

注目すべきは、この本初版が2014年で、ネットを使ったマーケティングは日進月歩なのでそれこそInstagramやSnapChatがはやってない頃の話になってくるのですが、それでも2年前に書かれたとは思えないほど本質をついた内容です。

それもそのはず、人間はそう簡単には進化しないので、PRの普遍的な「人間の心理をつかむやり方」は長く通用するわけです。
というわけで本質的にはPRの本です。音楽にかぎらず、キットカットなどの他のプロダクトの話も事例つきで載っています。

キットカットの例とか

ビジネス書というとなんだか難しい言葉が書いてあってとっつきにくいイメージかもしれませんが、本書は「音楽が大好きな筆者の情熱」が一番に伝わってきて、様々なケーススタディもあって読んでいて非常に楽しくなります。その上PRの知識も手に入る優れもの、といったところでしょうか。

「どうやったら聴いてもらえるかなー」と考えたとき、押し付け的な宣伝とは異なる明確なやり方が、この本にはあります。

川上徹也「新潟発アイドルNegiccoの成長ストーリーこそ、マーケティングの教科書だ」

こちらも一見ビジネス書、実際カテゴリはビジネス書、しかしその正体はNegiccoの教典です(意味不明)。

新潟発の「Negicco」という地方アイドルが、これまで一体何をしてメジャーデビューを遂げ、今のポジションを得たのか……という「がんばり」に焦点をあてつつ、よくあるビジネス書のように「〜をしたのだ!」という成功パターン的な結び方をしている本です。

ビジネス書として見ると、個人的には成功なんて運だと思うのでパターンをなぞっても仕方がないかなと思う部分はあるのですが、なにせ彼女らの健気な活動が伝わってくるところがニクいです。

だってわたしこれ読んだあとしばらくYoutube漁りましたもん。まんまと乗せられました。これとかトゲがあって好きです。

で、地方アイドルのほとんどが鳴かず飛ばずで終わってしまう現状がある中、彼女らはそんな「ふつうの地方アイドル」とは何が違ったのか?を解き明かし、それを応用するという意味ではビジネス的、というか自分のいる畑にも応用できる部分がないわけではないかと思います。

たとえばバンドとか同人作家の場合、「何をやれば、ほかと差が出せる?」という観点では参考になるところがあるかと思います。

そうそう、「Negiccoのファンは異様にマナーが良い」という話、特に面白かったですね。よそはよくわかりませんが、なんだか小さな仲良しサークルみたいです。

途中マーケから外れた内容も多いです

柴那典「ヒットの崩壊」

こちら、本記事で紹介する中で一番新しい本です。

この本が解き明かすのは「かつて、ヒット曲は時代を反映する鏡だった。今はどうか?」という疑問について、200ページ以上に渡って様々な観点から分析・考察するものであり、今までの日本の音楽の歴史、今の時代の変遷を知るにあたって非常に網羅的で興味深い内容でした。

これは最初に紹介した「始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング」でも述べられているのですが、やはり音楽は「体験」に寄っているというのが現在の様相といえそうでした。ライブやフェス、特に野外フェスは最近のムーブメントのようで、それはCDの購入だけでは測れない音楽の価値と言えるでしょう。

また、最近のものだとBABYMETALやSpotifyの日本上陸、宇多田ヒカルの「Fantõme」iTunesチャート入りなどの「明らかな時代の変化」に対応した話も載っており、世の中の音楽がCDやテレビなどの枠組みだけでは語られないものになっていることを認識させられます。

そして気になる、冒頭の疑問「かつて、ヒット曲は時代を反映する鏡だった。今はどうか?」。これについては非常に爽快な回答を得ることができ、音楽の未来を示す力強さを感じられました。非常に爽快な読後感を得ることができたように思えます。

あくまで昔の「ヒット曲」の概念から今の「ヒット曲」の概念を考察したものであるため、商業音楽から外れた同人の話は全く出てきませんが、時代の潮流を俯瞰するのに大いに参考になりますし、今後の音楽がどうなっているのか楽しみになる一冊でした。ちなみに文字大きめで230ページくらいなので2時間くらいでさくっと読めます。

まとめ

結局プチ感想文を3個並べただけになっちゃいましたが、音楽が好きなら読んでおくと愉しい本ということで紹介させていただきました。

マーケティングとかPR、ビジネスというと毛嫌いされる方がいらっしゃいますが、これらの本は「読み物」として推薦できます。難しい話は一切抜きにしていろんな考えを汲み取ることができ、それを活かすかどうかはまた別の話になります。

ハウツー本とか難しい本で疲れた頭を休めるのにもおすすめです。

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