メタルのギターリフをそれらしく打ち込むためのフレージングの基本 〜開放弦を意識せよ〜
2016/03/23

打ち込みギターの一番大事なポイントを忘れていましたので説明します。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
打ち込みギターのおかしくなりがちなポイント
ギターの打ち込み、ギタリストじゃないひとがやるケースが多いので
ギタリストが聴くと一発で分かるような不自然が多々あります。
たとえばリードギターだと分かりやすい例があるので示してみます。
- 指板移動がありえない
- ペンタトニックなどの手癖が感じられない
- ビブラートが足りない
感覚的なハナシで申し訳ないのですが、聴いたら本当にすぐ分かります。
というわけで、フレージングは打ち込みギターの「それっぽさ」を表現するにあたって非常に重要です。
「それっぽい」フレーズの組み方
というわけで実際にやってみます。
本記事では、リードギター(ギターソロなど)ではなく、横で聞こえるギターリフ(バッキング)について取り扱います。
前回、打ち込みギター向けの音作りの記事を記載しました。
→ フリー音源とフリープラグインでメタルのギターリフを打ち込みするチュートリアル
このときに使用したデモで説明します。
Heavy Metal Demo(By using virtual Instruments only) by Arisaka on hearthis.at
このデモ、ほんの30分くらいでさっさと組み上げたものですが、
よく考えなくてもそれっぽくなるポイントを1点だけ意識しています。
開放弦を意識する
デモフレーズは、若干スラッシュメタル風のざくざく刻むものです。
参考資料: 妖精帝國 Astral Dogma
1:09くらいのメインリフが似たようなアプローチをしています。
さて、じゃあ何をやっているのか、MIDIを確認してみます。
ご覧のとおり、ローBばっかりでたまに1オクターブ跳ねてます。
これをフレット(ギターの、左手で押さえる木の板の部分)で表すと以下のようになります。
ひたすらローBばっかり連打しているところは「開放弦」と言って
どこのフレットも押さえないで弦をピックで弾いた時に出る音になります。
KMG7は7弦ギター音源であり、チューニングはこのキャプチャ画面の下の弦から順番に
「B、E、A、D、G、B、E」となっています。
したがって、「ローBを連打」=「7弦の開放弦をピックでざくざくざくざく」という意味になります。
この「ざくざく」は、スラッシュメタル以外でも用いられる「オルタネイトピッキング」という技術をトレースしています。
ダウンピッキングとアップピッキングを交互に繰り返して弦を弾く演奏方法。一例としてビートルズの「オール・マイ・ラヴィング」のバッキングギターなどで用いられている。リズムキープがしやすく、テンポが速くなっても安定したサウンドを維持しやすい。
ときどきハイフレットに手を触れる
開放弦ざくざくは聴いてて気持ちいいんですが、フレーズが長くなるといかんせん単調です。
そこで、先ほど上げましたMIDIのように「たまにオクターブ跳ねる」みたいな抑揚をつけています。
リフは「リフレイン」の略で、このようなシンプルなフレーズを繰り返すこともまた特徴となりますので
ここに読者の皆様のオリジナリティが光るかとおもいます。じっくりインスピレーションをカタチにしていきましょう。
こちらをギターのフレットで表すと以下の様なイメージになります。
ギターのフレットはひとつ右に行くと半音上がります。
したがいまして、12個右にずれると1オクターブ上がります。
このキャプチャ画面の四角で囲ったあたりは、ちょうど1オクターブ上がった箇所=12フレットの周辺です。
エレキギターはピアノと異なり、
左手でちょっとフレット(指板)を押さえるだけでメロディを奏でられますので
1オクターブ超の移動を高速で行えるという特徴があります
(ピアノはハンマーが重いのでこうはいきません)。
そのため、デモフレーズのように「高速で開放弦を弾きながら1オクターブたまに跳ねる」というような方法は、
演奏だと「右手をずっとオルタネイトピッキングさせながら、たまに左手で12フレット〜17フレットくらいに触る」という
比較的簡単な方法で再現することができ、メタルのリフでは割とよく使われます。
いうまでもなく、6弦ギターの場合はEが開放弦になりますので、これを基準に組み立てるといい感じです。
といっても、7弦17フレットを使うフレーズはちょっと希少なので、みなさまは9〜12フレットくらいでまずはどうぞ。
まとめ
開放弦を意識するという1点だけ守ると、
メタルのリフについてはばっちりだとおもいます。
このほか、隣の弦への弦移動やハンマリングのような
技術的に難しくなくて味付けがしやすい方法はよくリフに使われるのですが、
それについてはまたの機会にお話しましょう。
まずは「開放弦をざくざく」から、適当にかっこよくなるようにアレンジするのがいいとおもいます。