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ジャズなんて簡単だ!「禁断のジャズ理論」で始めるモードジャズのDTM作曲

   

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たぶん「難しいこと考えないでジャズを作れる」唯一の本です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

ジャズは難しい?

主にバンドサウンドとか打ち込み系から入ってきた方なら共感して頂けるかと思いますが、
ジャズって制作しようとするとなんだかとっつきにくい印象があるんですよね。
というのも、他のジャンルと違って

  • シャッフルビート
  • ウォーキングベース
  • テンションコード
  • チャーチモード
  • アドリブ

といった全くもって見慣れない要素が沢山ある、という感じで
少し調べるとこの辺の解説がずらーっと出てくるばかりで
「ああ、ロックみたいに手軽じゃないのね」と思ってしまうのも否めません。

しかしですね、ジャズというのは本来自由な音楽なのです。
ですから、こんな小難しい知識や技術というのには本来依存しないはずで、
もっと手軽に始められるべきなのですが、先に述べましたとおりハードルが高く見えてしまっています。

本記事で紹介する「禁断のジャズ理論」は、この魅力的なタイトルが示します通り
そのハードルを一瞬の内に破壊する初学者向けの教本になっています。

プレイヤー向けのモードジャズの教本です

実はこの本、DTM作曲におけるジャズは全く関係ありません

ピアノトリオ(ドラム、ベース、ピアノ)を軸にした、ピアノプレイヤー向けのアドリブを弾くための教本です。
そして、「モードジャズ」と呼ばれるカテゴリに特化しています。

そもそもジャズの複雑化の背景が、モードジャズ以前の「コード奏法」という技術に依存していたというのがありまして、
そのときのコード進行に合わせて適切な音を選んでアドリブして、みたいな難しさはジャズの本質と違うだろ、という考えから
マイルス・デイヴィスやビル・エバンスらが広めていった1つの形態です。

モード・ジャズ – Wikipedia

コード進行を主体とせず、モードに基づく旋律による進行に変更したものが、モード・ジャズである(一説にはハード・バップから洗練・発展したものともいわれる)。バッキングなどの和声の面では多少困難にはなったものの、ソロプレイにおいては飛躍的に自由度が増し、メロディの選択肢も増えた。
欠点は、コード進行によるバッキングやメロディによる劇的な進行がない事である。

乱暴に一言でいいますと1〜2個のコードを使ってスケールだけで表現する音楽になります。
マイルス・デイヴィスですと「So What」は有名ですが、1曲通してDm7を16小節とE♭m7を16小節、延々繰り返すだけです。
そんな音楽です。

どんな内容?

という具合に、モードジャズでかっこいいアドリブを組むのに特化した本なのですが、
DTMでの作曲においてもジャズっぽい曲をすんなり組み立てるのに非常に有用です。

Am7とCメジャーだけで作る

序盤は「Am7を延々弾くだけの伴奏にCメジャースケールで自由にメロディを載せる」というテーマで
モードジャズの作り方を(歴史の話も交えながら)説明されています。

「えっ、全部Am7ならテンションとかどうなっちゃうの?」と疑問に思われるかもしれません。
しかし、「Am7にCメジャーでメロディを組む」というところにトリックがあって、やってみれば意外とテンション感出ます。
また、コードが固定されている中で自由にメロディを組むので、適当に組んでもモードジャズ特有の浮遊感が出ます

これの素晴らしいところは、本に書いてある内容を適当に真似ると即、それっぽいモードジャズができることにあります。
「あ、ジャズ簡単だ!それっぽい!自分でもできる!」と思えるので、大きなモチベーションにつながります。

というかまずほとんどのジャズはメジャースケールとブルーススケールで弾けると定義しているところが型破りすぎて素晴らしいです。

ベースの組み方もばっちり記載

ジャズといえばウォーキングベースで、序盤で作ったシンプルな鍵盤の伴奏に
ウォーキングベースを組み入れるだけで一気にそれっぽくなります。

これもなかなかユルい解説がなされていて、
小節頭と最後にコードトーンを入れればあとは自由」みたいなことが書いてあります。
これも勝手にテンション感が付加されるトリックを狙ってのことなのですが、なるほど一瞬でそれっぽくなります。

後半でやっとスタンダードっぽく

後半で、やっとモードの切り替えによるアドリブの表現力の増し方について
実践的というか「よくあるジャズ理論」の話に入っていきます。
素晴らしいのは前半でカタチから入ったことが知識として再入力されるというところです。

多くの教則本が理論→実践というフェーズを踏んでいるのに対して、
この書籍は「メジャースケールでできるね!簡単だね!」からの「こうするともっと発展するね!」と
知識によって更に幅を広げる方向に持って行っています。

このおかげで、それっぽいのが出来て挫折しなくなってから順当にスキルアップできるんですね。
ジャズ理論の本って割と「理論の本」という体裁から抜け出せていないので、
こちらの書籍はプレイヤーサイドの解説書ならではの砕けた感じが印象的です。

CD音源付き

最近の解説書・教則本の例に漏れずCD音源付きです。

おもしろいのはドラムが打ち込みであるというところです。
最近の音楽って感じがします。
なかなかリアルなのでジャズドラムの打ち込みの参考になるという副作用があります。

何より、音を聴いて「それっぽさ」を学習できるので、
本を読んで真似してみた結果がデモと比べてどうなるか?という観点で直感的に勉強できるのが良いですね。
本来はプレイヤーの方がリズムを勉強するのに使うんですが、DTM視点だと音源をそのまま真似できます。

まとめ

以上、簡易レビューでした。

そもそもこの本を手に入れた理由なのですが。
所属している同人音楽サークル「へっぷらけっこ!」でジャズを作れという指令が出たのに由来してます。

全くやったこと無いなー難しい理論わかんないしなーどうしようかなーと思って、視点を変えてプレイヤー向けの本を手にとって見たら
存外しっくり来たので、これはDTM畑の人にも勧めなければ、と思った次第です。

このデモの1曲目は「禁断のジャズ理論」を3時間で読破して直後に作った習作だったりします。
案外それっぽく仕上がったのでツカミとしては良く出来たと思っております。

という具合に、「ジャズよくわからない」から「ジャズ簡単だ」に心変わりするための一冊として
他のあらゆるジャズ理論の本を差し置いておすすめします。

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