ありんこ書房

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音楽理論の勉強がツラい初心者DTMerは、藤巻浩「聴くだけ楽典入門」を読みなさい

      2016/06/06

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音楽理論の本は数多くあり、中でも楽典を取り扱ったものは簡単にブレークダウンしたものが揃っていますが、そのなかでも「聴くだけ楽典入門」はその勉強方法が非常に斬新であり、他の本よりかなりシンプルに頭に入ってきますのでおすすめです。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

音楽理論むずかしいよね

作り続けていると、そのうち「あー理論ちゃんとやり直さないと頭打ちかも」って思うラインがどこかに現れます(少なくともわたしの場合)。
天才型の方で、感覚に依存するだけでもなんだか素晴らしい楽曲を書けてしまったり、リズム主体でコードの動きを意識しない音楽であれば話は別なのですが、多くの人にとって「理論を学びなおす」というのは独学の場合どこまでいっても厳しく難しいものです。

近年は、そんな音楽理論の基礎の基礎を楽に理解するための教則本も複数揃っており、まともに学び直してもいくらかはハードルが下がっている印象です。
北川さんの本なんかはポピュラー音楽に向いた教材ですし、ワークブックも揃っているので個人的には好きです。

しかし、それでも独学だと難しいもんは難しいわけで、
これは教材の内容を読んで、書いて、曲にして、と自分で全て考えないといけないという点にあるのと、
「楽典」と言ってもどこをどれくらい勉強すればいいのか、そのラインの見極めが難しいところにあるんじゃないかと思います。

本記事で紹介する「聴くだけ楽典入門」は、そこら辺のインプット的な観点での障壁を取り払った斬新な読み込みができてわかりやすいので個人的イチオシです。

「聴くだけ」楽典ってなんですか

藤巻浩さんが書いている「聴くだけ楽典入門」という本があります。
内容は楽典を近年の音楽に向けたカタチにシンプルにピックアップしたもので、最近のポピュラー音楽に即した内容となっています。

さて、まず本なのに聴くだけってなんじゃって話になります。これは、ちょうど英語のTOEIC試験のリスニング対策本みたいな感じで、CD + 本の内容というスタイルで勉強する教材となっています。

教材の中身は音声ファイル369分 + MIDIファイルです。これと対応するページを読みながら聴くという勉强スタイルになります。

学校の講義を受けているような感覚

講義というかゼミに近いカタチになりますが、音声を聴きながら本を読むというスタイルなので藤巻先生が説明する場面を教科書みながら参加しているような感覚があります。教材の文章部分は藤巻さんが読み上げつつ、要点を解説するというやり方なので、ちょうど輪講系のゼミみたいな感じです。

こんなふうに、見出しの横に対応する教材のトラックが書いてあります。
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そして音声教材ならではの非常に強力なところは譜例が適用された演奏が鳴ることです。

たとえば、「16ビートは16分音符でリズムを刻みます」と書いてあったとして具体的にどんなだよって思ったりしませんか。
これについて「実際聴かせる」という手段をとることで非常に直感的に「あーこれが16ビートかー聴いたことあるー」と理解できるような仕組みになっています。

序盤にリズムに関する譜例の話がでてくるのですが、シャッフルビートもジャズのサンプルを聴かせてくれるのでやっぱり直感的に楽譜と実際の音楽が対応付けできて良い感じです。
「こういうジャンルならこういうリズムが使われるよ、こういうコードだよ」というのが音楽と対応付けされますので、ご自分の作編曲に音色を含めて応用するということが可能になります。

従来の本だと、たとえば「〜はボサノヴァで使われます」とか「〜という楽器は〜が特徴です」とか書かれても全然イメージできなかったんですが、聴くだけ楽典入門はそこんとこの補完が非常に巧みですね。

内容は平易なところから応用まで、楽典がよくわかる

アプローチが斬新というだけで「楽典をブレークダウンした本」というところは真新しさはありませんので、内容については「楽典が簡単になったよ」という程度です。なにせ楽典なので、最初から五線譜ベースで速度標語なども交えた説明があります。

DTMの場合ピアノロールなので、必ずしも全部覚えないといけないというわけではありませんが、藤巻さんご自身も、最初の講座で「覚えなくていいと思ったら、それはそれでいい」という主旨の発言をなさってますので、自分の目的に応じて美味しいところだけ持っていくのが良いと思います。

特に中級者以降向けの高度な和声についても、やはり豊富な音声教材のガイドにしたがってわかりやすく説明されていますので、強烈な楽譜と専門用語の嵐に潰されて折れるというリスクはいくらか軽減できているんじゃないかと思います。
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個人的に「いいな」と思ったのは、音声教材のmp3ファイルの長さと、本のチャプターが対応しているというところです。何が言いたいかというと「今日はここまで聴いて勉強したらやめよう」という具合に受動的にユルくスケジュールできるんですよね。
特に「聴き終わったら」というゴールが設定できるところがポイントで、通常の本だとどうしても理解するまで先に進めなくて疲れるという困り事があるのですが、音声教材だと勝手に進むのでとりあえず進めることはできます。

もちろんわからなかったらやり直せばいいのです。一方的とはいえ先生の説明があるのとないのとでは情報の咀嚼のしやすさが違います。

まとめ

というわけで、ちょっと制作について悩みどころがあったので楽典学び直しだー、と思っていたら素晴らしい教材に出会ったからシェアしてみました。
ちなみにあくまでも「楽典の教則本」なので、コード進行などの話はそこまで多くなく、スケール、教会旋法、二声対位法、和声が中心です。ただし後半にテンションコードの説明なども記載されていますので、ポピュラー音楽に適用する材料は十分にそろっています。

藤巻さんの「聴くだけ」シリーズはたくさんあって、中級者の方だとコード編曲から入っちゃっていいと思います。

メロディラインの頭打ちを防ぐためには、新刊のスケール入門が有効でしょう。

が、わたしは感覚に依存しすぎたしっぺ返しを今食らっている最中なので、正面から楽典をやることにしています。
アレンジ面で悩みのあるDTMerの方、CD流して読むだけなので他の理論書と比べて遥かに気軽ですから、手にとってみてはいかがでしょう。

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