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今日から使える創作ノウハウ。時々エッセイ。ゴシックカルチャー。

あなたの曲が一瞬でホラーBGMへと変貌する3つのDTMテクニック

   

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とりあえず手早くホラー風エッセンスが欲しい時の小手先のワザを紹介します。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

ホラーのBGM的要素が欲しくなった時

きわめてニッチな話ですが、例えばゲームBGMであったり、あるいはちょっと奇をてらったフレーズを使う機会があったとき、
まさにその塊であるホラーBGMのエッセンスは結構便利です。

が、直感としてどういうのが不快なのかをわかっていても、それを例えば音色やMIDIといった数値上の要素に落としこむのは意外と難しい所があります。
本記事では、それについて具体的にどうすればホラーっぽくなるのかというあたりについて紹介しようと思います。

ホラーっぽくする小技3つ

音楽を音楽たらしめるものは「リズム」「ハーモニー」「メロディ」の3要素ですが、
この3つを破壊するのが鍵じゃないかなーと思います。

テクニック1: 不協和音

まずホラーと聴いて簡単に連想できますのが不協和音。

不協和音というのは、今更説明するまでもないかもしれませんが、メジャーコードやマイナーコードのような「音楽的に綺麗に聞こえる和音」ではなく
いわゆる音楽理論で体系化されてないイレギュラーな和音のことを指します。

じゃあ具体的にどういうのを使えばホラーっぽくなるんだという話ですが、まず半音でぶつけることで簡単にそれらしくできます。

不協和音の例

不協和音の例

で、半音の不協和音程は長引くことで不快感を演出できるという効果があるので、リリースの長い音色、具体的にはピアノやストリングスを使うと良いでしょう。
これが現代的なシンセやギターの音だと怪しくならないので難しいです。昔からある楽器が良いです。

またメロディ的な所だと、これを分解してクロマチックスケールで弾くのが良いでしょう。音色は同様にピアノなどで。

クロマチックスケール

クロマチックスケール

これでハーモニーとメロディを破壊するためのTipsは紹介しました。次にリズムに行ってみましょう。

テクニック2: ドラムパターンを破壊する

お次はリズムを破壊する方法。ちゃんとした音楽というのは小節線で区切って規則的なリズムを刻むようになっています。それはリズムの変化が激しいプログレであっても同様です。

ホラーのような異常な音楽は小節線を無視したリズムで「雑音と音楽の間」を狙うのが良いでしょう。
これについてはMIDIでめちゃくちゃなリズムを打ち込んでも「間」を狙うのがかなり困難なので、規則的に壊すツールを使います。具体的にはスタッターとかグリッチ系のプラグインを使います。

わたしが推奨するのはIllformed Glitchです。有償ですが6,000円くらいとDTMプラグインにしては良心的な価格で、Windows、Mac問わず使えます。

Illformed :: Glitch 2

これで何が出来るかというと、入力した信号に対して以下の一例のような効果をかけることができます。カセットテープを指で無理矢理動かした時の効果が一番たとえやすいんですが、このたとえは時代錯誤なのでわかりにくいですね。

  • テープの巻き戻りのような「ぐにゃっ」とした音に加工
  • ブレイクビーツ風に音を細切れにする
  • 汚す(歪ませる)
  • テープの再生を強引に止めた時のように間延びさせる
  • モジュレーション
  • 逆再生

各効果は以下の画面キャプチャの縦軸にプリセットされており、横軸にマウスで書き込むとその効果が適用されます。このシーケンスは一定周期でループするようになっています。

Illformed Glitch

Illformed Glitch

もちろんオートメーションも書けるので、曲で使いたいタイミングに応じて細かいエディットを行うことも可能です。
なによりエフェクトをよくわかってなくても一瞬で直感的に音を破壊することができるのがポイントです。
逆再生や細切れの効果はある程度小節線に沿いつつリズムを破壊するので、先ほどの不協和音と組み合わせるとなかなか異様な音色になってくれます。

「リズムを破壊する」という観点ですので、入力する音はサンプルライブラリなどに収録されているドラムループが良いでしょう。波形をGlitchでぐちゃぐちゃにするイメージです。

テクニック3: 音を汚す

さて、音楽の三要素を崩したところで、最後に音色自体を破壊してみましょう。

破壊の仕方はモジュレーション系エフェクトによるディレイなどの付与で壊す方法と、ディストーション系エフェクトで音を歪ませて別物にするアプローチがあります。
ディストーション系は変化が解りやすくて楽しいので、今回はこちらのアプローチで行きましょう。

使用エフェクトは有償なんですがiZotope Trash 2一択です。歪み・汚し系だとこれが最強です。
あらゆるエフェクトがパッケージングされており、かなり細かくエディットできる上に直感的、プリセットも膨大な量が収録されているので、初心者から上級者まで一番簡単で効果が大きいと思います。
iZotope ( アイゾトープ ) Music Production Bundle V2 | サウンドハウス
iZotope ( アイゾトープ ) Music Production Bundle V2 | サウンドハウス

サウンドハウスで単品で売ってたはずなんですがなぜかMusic Production Bandle収録のものしかありません。あれ?

効果の程は説明するより動画を見たほうが早いでしょう。ドラムループを超汚すデモ動画がYoutubeにあります。2分以降からかなり化け始めますので必見です。

これにてついてはピアノでもドラムでも、あるいはアンビエントに使えるサウンドスケープなんかにかけても大化けするので、雰囲気を掴みたいときにとりあえず挿せば有用です。
ただし結構やかましくなるので、乱用はやめておくのが懸命です。

まとめと作例

以上に述べたことをまとめますと、

  • ハーモニーとメロディは不協和音で壊す
  • リズムはGlitchで加工して壊す
  • 音色はTrashで歪ませる

ことでかなり手っ取り早く不安感・不快感を煽るホラーサウンドを作ることができます。歪み系を使うことで比較的モダンな仕上がりになるのが特徴です。

そうはいってもまだピンと来ないと思いますので、以上のエッセンスを使った典型例を1つ紹介します。

結構メチャクチャなんですが、ピアノ・チェロ・ブレイクビーツ系ループを超加工したり変な組み方をしています。
使ったテクニックはほぼ本記事で書いた内容だけです。割とそれっぽいでしょ。

この他にもいろんなエッセンスがありますがわたしの貴重なスキルの根幹なので詳細は秘密です。といっても大したことはしてませんが。
なかなか無いとは思いますが、ホラー的エッセンスが欲しくなった時は以上のテクニックを使ってみると、一瞬でそれっぽく仕上げられるでしょう。

ちなみに考え方的な部分は「小中理論」が参考になりますので、以下の記事も合わせて御覧ください。
→ 【 恐怖の理屈を知るために。小中千昭「恐怖の作法」を読んで

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