ありんこ書房

今日から使える創作ノウハウ。時々エッセイ。ゴシックカルチャー。

バンドマンと比べて、同人音楽のCDジャケットの完成度が高すぎる件。

   

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ことの本質は、完成度が高いことではなく「それが当たり前であること」にあります。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

インディーズバンドと同人音楽の違い

自主制作して音楽を売るという観点では、インディーズのバンドマン※と同人音楽のクリエイターは似ているところがあります。
CDを制作するところも似ています。
違うのは販路がライブから来るのか即売会から来るのかくらいで、ジャンルの差などは些細なものです。

さて、では、CDを作るという点で同じであると考えると、
その成果物、つまりパッケージングされたCDはどう変わってくるのか、
皆様気になりませんか。

これについて、インディーズと同人音楽の両方のパッケージングにたまたま縁があったわたしが
勝手に比較してみましたのでご紹介します。

※本記事でのインディーズとは、個人ないし少人数ですべての活動を行う音楽バンド・ユニットと定義します。
同人活動との比較なので、事務所の下で頑張っているひとたちは含めないことにします。

CDジャケットの違い

表面

インディーズですが、わたしの知り合い「あけまつしんじ」さん(@minami106)の協力を得て
彼の作品を例に紹介します(比較対象にすることについては許諾済)。

インディーズ: 【SUISO – ハッピーエンドはおわらない】
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プロのデザイナーさんに依頼して描いて頂いたそうで、かわいらしいイラストとポップなカラーリングが印象的です。
数あるインディーズの中では結構完成度高いですよね。
これまたポップなバンドロゴもばっちり出来ています。

同人: 【へっぷらけっこ! – Cafe Rose】
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わたしの所属サークルです。おしゃれでしょう?
同人音楽の場合、「イラスト担当のメンバーが居て描いてもらう・依頼して描いてもらう」というのが多く
写真やデザインよりキャラクターイラストが多い印象です。

同人はもう一本くらい紹介しておきましょうか。

同人: 【Seraph – Ateliepoque】
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新鋭のゴシックでメランコリックな感じの音楽を作るサークルの1stアルバムです。
クールにパッケージングされています。


どれも負けてないというのが分かったと思います。

裏面もだいだいこんな感じなので、
外見のパッケージだけ見るとインディーズと同人音楽はさほど差がないように見えると思います。
さて、決定的な違いはここからです。

中身・盤面

インディーズ: 【SUISO – ハッピーエンドはおわらない】
jacket4

真っ白なんですよね。

で、これはSUISOに限った話ではなくて、手元にあるこの辺のインディーズのCDを全部見てみたんですが全て真っ白なんですよね(許諾をもらっていないので見せられませんが)。

対して同人はこんな感じです。

同人: 【へっぷらけっこ! – Cafe Rose】
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完全ハンドメイドなのでプリンターで印刷してるんですがこれくらいはできています。
うちに限らずこのレベルは結構当然のように存在しています。

同人: 【Seraph – Ateliepoque】
jacket2

こちらのサークルさんは印刷会社に委託してほぼ商業製品みたいな完成度になっています。
この記事をご覧の駆け出しバンドマンの方、どうです、凄まじいでしょう?


実は、同人音楽は完璧なパッケージングを行うのが当たり前になっているんですよね。
なので、先ほどのSeraphのような「印刷会社に委託する」というのも何も真新しいことではなくやるサークルは当たり前にいっぱい居ます
対して、インディーズバンドは100%自分の掌でコントロールできる範囲になる傾向があるようです。

特に今回の比較の場合、「SUISO」は相当完成度が高い方で、
ジャケットを描いた紙がペライチで挟まっているだけ、というのも少なくありません。
もっと行くと不織布パッケージとか紙のケースに白いCD入っただけ、みたいなのもザラにあります。

うーん、あまりにもすっぱり分かれすぎな気がするので、何故そうなるのか考察してみましょう。

なぜこんなに違う?

ひとことで言えば情報機器とインターネットの使い方に慣れているかどうかと、お金をかけられるかどうかの差だと思います。

DTPできますか?インターネットで作り方調べられますか?入稿の仕方わかりますか?

まず大きいと思われる点はここです。

同人音楽って、コミックマーケットなんかでも盛況だったりするので
アキバ系のサブカルチャー=オタク・ギーク→PCやインターネットが当たり前に使える という層が多いように見えまして、
また、コミックマーケットやM3は事実上インターネットがないと知り得ないので
必然的に参加者はインターネットに精通した層が厚くなるはずなんですよね。

で、インターネットで当たり前に情報を拾える層がどうなるかと言いますと
DAWで作曲したり、「ググる」ことで作り方を調べられる層になるわけです。

そうなると必然的にCD盤面の印刷の仕方とかバックインレイとか裏ジャケの作り方なんて調べりゃいくらでもわかるわけで、
「まぁググればできるでしょ」という普遍的ながら強力な武器を、同人クリエイターは皆持っているということになります。

また、同人クリエイター特有の当たり前のようにAdobe製品を弄り倒したりWebサイトを組み上げるスキル
これも「音楽家」という観点からすると相当異常で、やはり「PC操作に慣れている」という点が
知らないソフトウェアを操作するときのハードルを大きく下げている要因であることは明らかです。

あと、誰かが「印刷会社に委託する」などの手段をとったときも
それがインターネット経由でシェアされて定着し、「当たり前」になっていくとも考えられます。

インディーズバンドの人はスマートフォン世代の人も少なくありませんし、
普段PCで情報を集め倒したり調べ倒したりする習慣がない場合が多いです。
結果的にインターネットと情報機器(PC、スマホ、プリンターなど)を使いこなす同人クリエイターにアドバンテージが生まれるのではないでしょうか。

採算度外視で作れますか?

もちろん知識技術の量だけではまだ不足があります。
CDを製作するにはお金がかかります。

インディーズバンドの方は、大局的な目的として「音楽で食っていく」というものがあります。
必然的に、CDやグッズの物販、ライブは利益を生み出すものである必要があります。

対して同人の頒布価格の目的は制作費をギリギリで回収する、または自分のCDに価値を認めてもらうことなので、
インディーズバンドのようにプラスαの利益を求める構造になっていません。
損益分岐点を計算して販売価格を決定するようなことをする必要もありません。赤字でもOKなわけです。

なので、同人は採算度外視で完成度を徹底的に上げることができるわけで、
これが何万円も払って印刷会社にジャケットを作ってもらったり、CDをプレスしたり、キャラメル包装のパッケージを作ったりという
猛烈な完成度の根拠になっているとも考えられます。
インディーズでコンスタントにこんなことやったら破産しますよね。


という具合に、採算の事情と、いわゆる「情報弱者でないこと」が条件のウェイトとして大きいように見えます。

さきほど「SUISOは相当完成度が高い方」と申し上げましたが、
彼はインターネットの使い方をよく知っている故に完成度を上げられています。
それでもCDが真っ白だったりするのは、採算と完成度のバランス、或いはDTPの技術的ハードルが影響しているからなのでしょう。

デザイナーだってインターネット経由の集まりで知り合って見つけたそうですし、
やはり情報化社会に上手く乗れる人が強いのは、創作においても顕著です。

結言

以上、インディーズバンドと同人音楽のジャケットの違いから見る
情報化社会への浸透度の違いの考察でした。

もちろん全てがそうというわけではなく、商業作品みたいな完成度を持つインディーズもいれば、
なんだかよくわからないパッケージの同人作品も沢山あります。
が、傾向としてやはり「同人音楽のパッケージングの完成度は異常」です。

……「やべぇ、俺同人なのにジャケットしょぼい!」って思った人は以下の記事で助け舟を出していますので御覧ください。
→ 【 絵が描けない同人音屋のあなたに贈る、それっぽいCDジャケットを作るためのヒント

既に情報化社会は誰にでも平等に大量の情報を受発信する機会を与えていて、これを使わない手はありません。
難しいから調べない・使わないでは確実にどんどん置いて行かれますし、
何より音楽で食って行きたい人が片手間でやってる同人作家に全面的敗北するのもなんとも悔しい話ですので
出来る範囲からコツコツと、「ググる」習慣をつけるだけでも始めるべきですね。
そのうち「当たり前に作りたい物が作れる」ようになればしめたものです。

twitterとかfacebookをちょっと始めただけでは「インターネットを使える」という意味では中途半端ですヨ。

宣伝

なんかインディーズ大したことないなって思われたらよくないので、
協力してくださった知り合いの活動を勝手に宣伝します。凄いですヨ。

「SUISO」は期間限定ユニットだったので既に解散済なのですが、
iPhoneとMacbook Air + iMovieだけでMVを自主制作するという離れ業をやってのけています。
やはりインターネットを使いこなすインディーズバンドマンは下手な同人音屋より強いです。

「SUISO」とは別にやっていた活動でもやっぱりiPhoneだけでMVを撮っています。こちらはドラマ風。

で、音源を自家販売しているページを出そうとしたんですがもうやめちゃったので無いようです。残念。

ちなみに彼は今個人事業主やってます。なんでも出来る頭のいい人なので要チェックです。
事業内容は教育業で、スタディサプリ風の映像授業や受験問題の過去問解説など、
インターネットを積極的に使った先鋭的な取り組みを矢継ぎ早に行っている、非常にスピード感のある実業家です。
学生さんでなくても、勉強したい大人の方は、ブログをRSS登録しておくと良いでしょう。
→ 【 宮城県仙台市 あけまつしんじのポータルサイト | Haikara City

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