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ギターのパワーコードの打ち込みはとりあえず2種類だけ覚えればいいと思う

      2016/08/28

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メタルやハードロック、あとパンクを制する便利コード「パワーコード」の打ち込みについて、複雑さを取り払うための記事です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

パワーコードとは

この記事タイトルで今読んでいる方にはたぶん説明不要なのですが、一旦「パワーコード」について簡単におさらいしておきましょう。

パワーコードとは、エレキギターのコード弾きのうち、1度と5度を基本に演奏するコードのことを言います。
一般にコードといえばメジャー・マイナーを決める3度の音が入りますが、パワーコードにはそれがないので調性を感じにくく、リフなどにメロディっぽく取り入れることが可能であるという特徴があります。

わざわざエレキギターに限り3度を抜いた音をよく使うのは、歪ませた音は倍音成分が多く、3度や7度の音を積極的に突っ込むとぐしゃぐしゃになってよくわからなくなるからであると言われています。
そこで、2音だけで構成するパワーコードが使われている、ようです。

さて、このパワーコード、実はボイシングが結構奥深く、以下の動画で様々な種類のパワーコードがデモンストレーションされています。twitterでそこそこ拡散されていたのでご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

……となると、そこにいらっしゃる「ギターが良くわからないけど打ち込みしたい」貴方、直感的に「えっパワーコードって簡単に打ち込めるんじゃなかったの?こんなに覚えるもの多いの?無理じゃん!」って思いませんか。
わたしだったら楽曲にパワーコードを取り入れるにはこんなに応用しないといけないんだー、と勝手に勘違いして挫折しかけます。

が、そうではないのをこの記事でざっくり説明しようと思います。

パワーコードはとりあえず2種類覚えれば良い

多くのパンク・ロック、あるいはメタルにおいて、使われるパワーコードの指使いなんてだいたい2種類だけです。

  • 1度と5度を押さえるやつ
  • 1度と5度とオクターブ上を押さえるやつ

さきほどの動画の応用例は、4度のパワーコードとかドロップチューニング版の指使いとか、あとマイナー感を持たせる構成とかいちいちトリッキーなだけで、パワーコードのもともとの目的である「3度抜いて音圧だけ出しとく」を達成する上では、上記だけで問題ありません。

で、ベースやウワモノであとからコード感を付加すればとりあえず及第点です。っていうか後述しますがメジャーアーティストでも普通にこの2種類で通用します。

1度と5度を押さえるパワーコード

この「1度と5度の2つの音」というパターンが、いわゆるパワーコードの基本形になります。何度も言いますが先ほどの動画はトリッキーな応用です。あまり気にしないほうが気楽です。

MIDIに表すとこんな感じ。

最も基本的なパワーコード

最も基本的なパワーコード

たった2音、1度と5度だけなのでボイシングも迷う必要がありません。あらゆる場面でこの関係性でいけます。

一瞬だけ応用の話をすると、転回形も成立しますので必要に応じて5度と1度をひっくり返しても良いですが、普通そんなに使わないパターンなので下手に使わない方がよいです。
安全に上記画面キャプチャのように「ルート – 5th」という構成を守ると良いでしょう。

これが最も基本的な「パワーコード」になります。なにはなくともこれだけは覚えておきましょう。1度と5度だけなので簡単ですね。

1度と5度とオクターブ上を押さえるパワーコード

次によく使うのが、最初に紹介した「ルート – 5th」の2音に一つ足して、ルートの1オクターブ上を足すというもの。
実際の指使いでも、人差し指でルート、薬指で5度、余った小指を薬指の下に添えると簡単にオクターブ上が足せるので頻繁に使われます。

特徴としてはオクターブ上が増えるので音の厚みが増すということ。倍音じゃなくて実際に音を増やしてるので当然ですね。メタルのように音圧命のジャンルで使われる傾向にあります。

先ほどと同じようにピアノロールで説明すると、以下の様な感じです。
5th-8th

これは「A」のパワーコードですが、A-E-Aという具合に「ルート – 5th – 8th」という足し方をしているのがわかると思います。
こちらもたった3音、トライアドのメジャーやマイナーといった関係性を考える必要なく、機械的に1オクターブ上を足すだけなので簡単に覚えられると思います。

で、これは我流なのですが、最初に紹介した「ルート – 5th」版との使い分けは2分音符とか白玉みたいな「じゃーん」って一発彈くパターンならこちら、リフのように細かくパワーコードを挟む場合は最初の基本形、というのがいいんじゃないかなと思います。

理由は、白玉の場合音が減衰する時間がそれだけ長くなるのでなるべく厚みを出した状態で鳴らしたいということ、リフの場合いちいち小指添えて彈くのは難しいのでやめとくという演奏性的な観点のためです。
ちなみにパンクは無条件で基本形しか使わない傾向にあるので覚えておいて下さい。

そもそも2種類でも成立する根拠

わたしの好きなアーティストに「妖精帝國」というランティス所属のメタルバンドがあります。

彼らの音の特徴はクワイアやストリングスを使ったアニソン系特有のウワモノ多めアレンジ。この場合ギターは余計なことしないほうが映えます。つまり調性を司る部分をウワモノに投げるのです。

で、どうなるかというと、妖精帝國のギターの基本は「ルート – 5th」のパワーコードです。もちろんリードプレイや助奏としてフレーズっぽいものが随所に付け足されますが、伴奏の基本は全て一番シンプルなパワーコードになっています。

例: Mischevous of Alice

リフが非常にかっこいいですが基本は開放弦とパワーコードです。サビの疾走感ある伴奏もパワーコードです。
その代わりにコーラスやストリングスアレンジでコード感を付与しているのがわかると思います。

何が言いたかったかというとメジャーアーティストでも簡単なパワーコードだけで成立させてるし、実際かっこいいので難しく考えなくていいよっていう話です。最初に紹介した動画のことは一旦忘れましょう。必要になったら思い出して下さい。

まとめ

わたしが考えるにパワーコードなんて2種類だけ使っとけばいいよ、っていう話でした。そしてその根拠は実際それでかっこいいアーティストがいるから、という話でした。

これに限らず、例えば理論を勉強したり、機材の知識を得るのはいいんですが頭でっかちになっちゃって難しく考えすぎて曲ができないとかになっちゃったら本末転倒じゃないですか。それを避けるために「簡略化して必要なものだけ拾う」っていう考え方は個人的に勧めたいところです。

ちなみにパワーコードに限らず、ギターコードは特性上異弦同音とか転回形を考慮すると本当になにがなんだかわからなくなります。一旦シンプルなやつだけ覚えるのが気楽で良いでしょう。

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