ギターのコードストロークの打ち込みが捗るボイシング講座2(5弦ルートのバレーコード編)
2016/07/14

今日はBコードから始めるギターのコードストロークのボイシングの話です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
目次
5弦ルートのバレーコードのボイシングを覚えよう
前回、6弦ルートのバレーコード、具体的には「F」を起点として、FmとF7とFm7を導出する方法と、「そのまんまずらせばGにもAにもまる」ことをお伝えしました。
これを押さえておけば、1つのボイシングからいくらでもコードストロークのボイシングを生み出せるので、打ち込みのときのMIDIのボイシングで暗記することが格段に減ります。
ギターのコードストロークの打ち込みが捗るボイシング講座(6弦ルートのバレーコード編)
さて、上の記事の最後に「5弦ルートとオープンコードはカバーしていない」というようなことを書きました。
これ、ギターを弾かない人に説明しますと、「上の記事で説明したのは無数にある押さえ方のうちのひとつでしかない」という意味です。
実は弦を6本フルに使う押さえ方の他に「5弦にコードのルートを持ってきて、5本の弦でコードを鳴らす」というアプローチもあるのです。
そして、「F」の押さえ方同様、ずらすだけで応用が利くのと教則本にも当たり前に載っているのもあって、ギタリスト的に非常によく使うアプローチとなります。つまり打ち込みでMIDIを頑張って入力する場合、覚えないわけにはいきません。
ということで、本記事では5弦ルートのバレーコードということで「Bメジャー」の押さえ方からMIDI上のボイシングを説明し、ギターストロークのバリエーションを更に増やせるようにしていきます。
5弦ルートの「B♭メジャー」
まず、前回の記事で押さえた「前提」、つまり①フレットを押さえる位置を1つ左右に動かすと半音変化する。②チューニングは太い弦から順に「E A D G B E」であることを思い出して下さい。
(検索からいらっしゃった方は前回の記事を参照ください)。
指板上のB♭の構成
上記の前提を踏まえて、まずは5弦ルートの「B♭メジャー」の押さえ方を指板上で見てみます。
一番下が6弦です。これも「バレーコード」と呼ばれるタイプのもので、「人差し指で1フレットを全部押さえて、残りの指で他のフレットを押さえる」のが特徴です。
1点Fコードと異なるのは、6弦についている「X」の表示。これは指先で軽く触れて音が鳴らないように振動を抑えろという意味です(ミュート)。
従いまして、バレーコードのB♭は弦を5つ使うコードです。このうち、コードのルートであるB♭の音が5弦1フレットにあるので、5弦ルートのバレーコードといえるわけです。
Fコードのときのように押さえ方から行こうと思いましたが、指板上の音の関係性が分かれば打ち込みの場合どうでもいいので省略します。
5弦ルートのB♭の構成音の組み方
それでは構成音について説明していきましょう。
B♭は5弦ルートのバレーコードですので、まず1フレットを全部人差し指で押さえます。これで以下の図のように全部半音上がります。レギュラーチューニングは「E A D G B E」でしたので、半音上がって「F A# D# G# C F」ですね。図は6弦が下なので気をつけて下さい。
次に、この指板図を見ると「2弦、3弦、4弦の3フレットを押さえろ」ということになりますので、1フレットから中指と薬指と小指を使ったり、人によっては薬指一本でがばーっと押さえたりします。
とにかく1フレットから3フレットなので2〜4弦はさらに全音上がります。
というわけで、構成音は6弦から「F B♭ F B♭ D F」ということで、しっかりB♭のトライアドの構成音になっています。3度が1個しか無いので構成音のバランス悪いですがバレーコードって大体こんな感じです。
さて、このままだと6弦にFが居て転回形になっていますし、押さえにくいですし、あってもなくてもトライアドの要件は満たせますので、「6弦を鳴らさない」という選択をとります。
結果として、5弦ルートのバレーコードは6弦をミュートして「B♭ F B♭ D F」となります。
打ち込みへの応用
ここまで、ギターの指板上の理屈から5弦ルートのバレーコード、B♭メジャーについて説明しました。
構成音の組み方がわかったので、実際にMIDIに応用してみましょう。
MIDI上に組み上げてみる
これは簡単ですね。E2を最低音として、そこから一番低い位置のB♭をルートに、その上のF、その上のB♭、……・というようにノートを置いておくと以下の様なものが得られます。
あとはノートをずらすなどしてギターストロークっぽさをだせば、5弦ルートのB♭メジャーはばっちりです。そして、「人差し指で全部押さえている」という原理上、指の形をそのままに押さえるフレットをずらす=そのままのボイシングで他のメジャーコードも鳴らせると言えますので、
この組み上げ方がわかればAメジャーもCメジャーも作ることが出来ます。全部選択して上に引っ張るだけです。
B♭マイナーの組み方
B♭マイナーの組み方ですが、B♭メジャーに3度の音が1個しか無いので1個だけある3度を半音下げたらできあがりです。
指板上では、2弦を押さえている指を左にずらすことで可能にします。
MIDI上では、3度のDが1個しか無いので一目瞭然ですね。これを半音下げるだけです。
これだけ覚えれば、例によって、ボイシングはそのままでAマイナーもCマイナーも表現できます。メジャーから導出できるのでわざわざ暗記するまでもありませんね。
B♭7の組み方
B♭7ですが、構成音は「B♭ D F A♭」です。つまり、Bメジャーのボイシングからどこかの音を下げてA♭を鳴らせるようになればできるわけですが、
ギターでは「3弦を押さえている指を離して、1フレットを人差し指で全部押さえた状態に戻す」ことで、3弦のB♭を全音下げてA♭にします。これで7thができあがり。
MIDI上は、3弦、つまり上から3番めのB♭を全音下げたらできあがりです。
もうお分かりの通り、マイナーでもセブンスでもキーに関係なく同じボイシングですので、ここまでに紹介した導出方法だけ覚えれば、5弦ルートの主要なコードは制覇できてしまいます。
m7はマイナーの「Dを半音下げる」「3番目のB♭を全音下げる」を両方やるとできます。
まとめ
6弦ルートのときのギターコードボイシングの作り方の記事の水増しみたいな内容でしたが、いかがでしょうか。
弾けない人からしたら「あたりまえに使われる押さえ方」がわからないので、コードブックを見ただけでは色々と困難があるかと思います。そこで、「よく使われるコードフォーム」として6弦ルートと5弦ルートの2種類のバレーコードを覚えておくと便利でしょう。
ちなみに今回、画面キャプチャにはコード支援アプリ「G-Chord」を使っております。
無料だと7thコードが表示できないなどの制限はありますが、ざっくりメジャーマイナーのバリエーションをおさえるのには使えそうな印象です。コードブックにお金を出せない!という方は、無料ですのでためしてみるのも良いでしょう。