Toontrack「EZKeys」を使って、鍵盤弾けなくてもコード伴奏を1分で作り上げる方法
2016/04/30

ピアノ音源も群雄割拠の時代ですが、鍵盤が弾けない場合、最適な選択はひとつしかありません。
御機嫌よう、蟻坂(4risaka)です。
目次
ピアノ音源は何を選べばいいの?
ピアノの有料音源が欲しい!となったとき、
あまりにも音源が多すぎて何をもって選択の基準とすればいいのか
よくわからなくなってきました。
音質ではIvoryとか軽さではPianoteqという意見を耳にしますが、
本記事では「鍵盤が弾けないしコードもおぼつかない」という
音質とかどうでもいいから簡単にピアノ打ち込めるやつがいいという、
ものぐさ系DTMer向けの音源を紹介します。そういう方には親近感が湧きます。
なんでピアノ音源なんか買おうとしてんだよ!っていうのは無粋です。
Toontrack EZKeys
EZKeysは、Toontrack社(代理店はCrypton社)から発売されている「軽くて音質そこそこいい」ピアノ音源です。
この音源の唯一無二にして最大の特徴は、MIDIライブラリを軸にして譜面を編集する機能が
音源自体に実装されていることです。
ひとことで言うとコードを一瞬で自然に打ち込むスーパー機能です。
言葉でいってもなんだかわからないので、以下で説明しましょう。
基本画面
コチラが基本画面です。
上半分のピアノのところを弄ると音自体をエディットできるのですが、
本記事の本題ではないため割愛しちゃいます。
それより下半分のよくわからないやつをみてください。
「BROWSER」とかいうのがあります。
これをクリックすると、このような画面が出てきます。
この画面、もとになるMIDIの部品を選ぶ画面です。
左から
- 素材元になるMIDIライブラリ(標準で付属していますが、拡張ライブラリも売っています)
- ジャンル(ロックとかジャズとか)
- 弾き方(白玉、アルペジオ、短いフレーズまであります)
- 弾き方に応じたパターン
を選べます。
次節でより詳細にこのMIDI機能を説明していきましょう。
コードを入力してみる
見出しがもはやピアノ音源の説明じゃありませんが、気にしないでください。
とりあえず先ほどの「BROWSER」画面から、適当に選んだMIDIパターンを
下の小節割りっぽいところにドラッグアンドドロップしてみます。
「C」の白玉コードができました。
音源サンプルは省略しますが、下手に打ち込むより自然に鳴ります。
はい、この小節割りっぽい領域は、
実際にMIDI譜面を鳴らすための、DAWでいうMIDIトラックに相当するものです。
細かい編集はできませんが、MIDIパターンを投げ込めばあっさりピアノバッキングが完成します。
すばらしい!
……そうはいっても、細かい編集ができないとただのフレーズ集です。
そこで、貼り付けた「C」の白玉コードをDAW上にドラッグアンドドロップします。
はい、想像通りドロップした先のトラックに「C」の白玉コードがあらわれました。
EZ KeysはペダルをSysExでコントロールしているらしく、それも一緒についてきます。
MIDI情報とVelocityとSysExをこれでDAWから弄り倒すことができるようになりました。
ちなみにEZKeys側のMIDIエディターはDAWと同期しているため、
その場でバッキングをちゃっちゃと組んでDAWにどーん、ってやると編集が楽です。
コードを変える
ここまでCの白玉コードで試しましたが、
先ほどのMIDIライブラリをあさるとアルペジオや跳びはねるようなバッキングパターンなど
大量に出てくるので、伴奏には事欠きません。
オリジナリティが欲しければDAWに出力して直せばいいので、こちらも不自由しません。
が、コードが変えられないと話になりません。
変えてみましょう。
さきほどのEZKeys側のMIDIエディターに貼り付けた「C」をクリックします。
なんと五度圏が出現します。もう暗記しなくていいですね!(ちがう)
ここで、例えば「Em」と、上に色々張り出しているオプション部分から「7」をクリックして、
最後に適当なところを押して五度圏を閉じてみますと
さらに、キーを「C major」から「D major」にすると、
そのキーに合った五度圏上のコードに勝手に変換されます。
楽ですね。すばらしいですね。
こんな具合に、白玉コードとかアルペジオとかあらゆるMIDIパターンに
今述べました直感的になコード編集機能が効いてくれるため、
もうなんかこいつだけでいいんじゃないかなってくらいあっさりピアノバッキングが組めます。
もちろん手抜きはNGですよ!作家たるものおりじなりてぃ〜を要所要所で主張していくのが肝心です。
ただ、わたしの場合「ピアノが目的ではない」ことが多いので、
ちゃっちゃとコードバッキングを乗っけたいときはこれを頼ることが多いです。
わかりやすくて楽なので。
欠点
ここまで絶賛に近い紹介をしてきたつもりでしたが、
当然なんだか気に入らないところもございます。
コードチェンジすると音の重なり方がおかしい
さきほど、マウス操作で簡単にコードを切り替えできると書きましたが、
ただの「C」から複雑なコードを作ったり、フレーズに無理矢理コードを載せると
テンションが隣接した半音で激突したりなどあり得ないボイシングになることがあります。
はっきり言ってそのまま運用するとそれこそ怪しい打ち込みピアノになってしまうので、
結局はなんだかんだで、例えばジャズならルートは省略するとか、
必要な音を必要なときに抜き出せる前提知識は必要な場面が出てきてしまいます。
なんか夢を壊された気分だ!ってなっちゃった方は、
DAWに貼り付けた時に半音でぶつかってたらオクターブをずらす、
中途半端な長さで切れているノートは自然に聴こえる程度に伸ばす
というあたりだけ押さえておけば問題ないと思います。
ちなみに「複雑なコードを作ったり」と書きましたがメジャーセブンスくらいで普通に起きます。
こまった。
MIDIエディターが超使いにくい
「フレーズを選ぶ」のと「コードをいじる」の2点においては直感的なんですよ。
しかしですね、
- ショートカットキーがDAW側に引っ張られて効かない
- 画面が小さすぎてスクロールが難儀
- 再生・停止・録音ボタンがDAWと同期とれてなくて使いにくい
- 4拍子と3拍子しかない
という中々強烈な欠点が揃っていてMIDIエディターがツラいです。
特にショートカットキーが効かないのがなかなかきつくて、
フレーズを切り貼りしようとしたらCubase側のフレーズがどっか行ったとか結構あります。
焦るのでやめてほしいです。
あとエディター部のGUIは大きさが固定なので、
なんとも言いがたい窮屈さがあります。あれで最後まで編集するのはおすすめしません。
再生・停止・録音ボタンと拍子選択の不自由については諦めてます。
運用の仕方としては、身も蓋もないですがわたしの場合
さっさとCubaseにドラッグアンドドロップして編集するという対応をしています。
あと、DAWに貼ったときMIDIエディターにフレーズが残っていると両方鳴り出します。
へたくそな連弾は求めてません。
まとめ
というわけでちょっと使いにくい面もありますが、
現状唯一無二の「編曲機能」入りピアノ音源Toontrack EZKeysの紹介でした。
本記事ではグランドピアノを用いていますが、
現在アップライトピアノやエレピ、パイプオルガンまで様々な拡張音源が出ており
そのバリエーションも他のピアノ音源というか鍵盤音源に負けないレベルになってきています。
また、MIDIライブラリも2,000円くらいで拡張できるので、
つくりたいジャンルに合わせてインスピレーション元として活用するのも良いとおもいます。
お値段も他のピアノ音源と比較してあんまり高くないので、こすとぱふぉーまんす的にも素晴らしいとおもいます。
ちなみに拡張音源は単品で動作するので、
ピアノは持ってるけどちょうどいいパイプオルガンの音源が欲しかった!という方にもおすすめです。
なんだかんだいって手放せない音源のひとつになってしまいました。
楽でいいですヨ。