Etymotic Research ER-4SはDTMのモニターに使えるイヤホンである

ずーっと愛用しててまだ紹介してなかったので、モニター「イヤホン」の紹介です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
DTMの必携アイテムの一つに「モニターヘッドホン」「モニタースピーカー」があります。出力に関わる箇所なので非常に優先度が高い機材として推奨されています。
弊ブログではメインモニターに使っているEVE AUDIOのSC203を紹介したことがありますね。
超小型・高音質モニタースピーカー「EVE AUDIO SC203」レビュー
で、ほとんどの場合ヘッドホンかスピーカーの話になるかと思いますが、本記事ではモニターイヤホンという枠で、カナル型イヤホン「ER-4S」の魅力について語ろうかと思います。もう4年くらい使ってるので相当お気に入りです。
目次
ER-4Sはここがすごい
ER-4Sとは、Etymotic Research社から発売されているカナル型イヤホンです。
Etymotic Research | NEW ER4 Earphones
……カナル型イヤホンでモニター?イヤモニ?とお思いかもしれませんが、やたら性能が高くて普通に制作に使えます。
解像度が異様に高い
まず一聴して驚くのはとてつもない解像度の高さです。
ステレオのLRの聞こえる位置、低域の量感、ギターの音の粒がはっきり聞き取れます。シンバルのリリースも確実に拾えます。
このレベルで音を綺麗に拾える「イヤホン」はそうそう無いんじゃないでしょうか。下手なヘッドホンより優秀です。
特性はフラット
「モニター」としておすすめしている通り、特性は非常にフラットです。
低域から高域まで淡々と鳴らします。言い換えると聴いてて面白い音ではありませんので、そこは注意してください。モニタースピーカーの淡々とした聴こえ方を連想していただければ近いです。
ただ、解像度の高さと相まって非常に精密に鳴らしてくれますので、細かい所のトリートメントに威力を発揮します。
インピーダンス高め
インピーダンス100Ωです。
つまりどういうことかというと再生側のボリュームを結構上げる必要があります。
ポータブルの音楽プレイヤー、例えばiPodなんかだと、もしかしたら音量最大にしても鳴らしきれないかもしれません(未検証)。
一方、普通にモニター用途にする場合は、多くのオーディオインターフェースの出力であれば十分対応可能です(これよりインピーダンスが大きいモニターヘッドホンありますし)。
リケーブルが簡単
イヤホンといえば断線怖いですよね。ER-4Sは高価なので断線したら大変です。
でも安心してください。ケーブルの交換が異様に簡単です。
イヤホンの専門店とかAmazonにリケーブル用のケーブルが売っているので、それを買ってきて手で外してはめれば完了です。何の工具もいりません。ハンダ付けも不要です。
これについては1回断線した時実際やってみたので、以下の記事を参照してください。
半田ごても難しい部品調達も不要!手だけでできるER-4Sのケーブル交換方法
これらの特性に加えて、当然ヘッドホンよりコンパクトなので、モバイル・ミニマル環境でのDTMに威力を発揮します。
先程も言いましたがこのレベルの解像度+特性で音楽を鳴らせるイヤホンはまず存在しないので、フラッグシップのモニター「イヤホン」としての選択肢であればほぼ唯一解かと思います。
気をつけないといけないポイント
とはいえ、イヤホンですのでやっぱりヘッドホンと比べたらちょっと劣るポイントもあります。
音場は開放型ヘッドホンに劣る
当たり前なんですけど、手元のモニターヘッドホン(オープン型)と比べると音場感は狭いです。
L、Rのステレオ定位感は掴み取れますが、モニターヘッドホンほど広がってくれないので、パンを振る際にあまり当てにしすぎるとよくないかもしれません。これについてはスピーカー併用がおすすめです。
ケーブルが短い
イヤホンだからなのかなんなのかわかりませんがケーブルが短いです。
モニターヘッドホンはスタジオユースを想定してケーブルが2.5mとか長いものだと5mとかあるんですが、ER-4Sのケーブルは1.5mです。イヤホンにしては長い方ですがまあ短めです。
リケーブルした場合もやっぱり同じくらいしか無いので、以下のような延長ケーブルを装着するのがおすすめです。わたしは実際延長して運用していますが、音質に大きな変化は起こりません。
フィルターのメンテナンスが必要
イヤーピースを外すと、イヤホンのハウジング部の入口にフィルターが付いています。
で、これ、使っているうちに耳垢などで汚れてきますので(下世話でスミマセン)、交換する必要があります。替えのフィルターはちょっと高いですがAmazonで売っています。
交換の仕方はフィルターの説明書に書いてありますので本記事では省略します(専用の器具で引っ張って古いの外してから、新しいのを手で埋め込むだけですが)。
ちなみに交換しないと音が曇ってきます。
遮音性を最強にする裏技
ER-4Sはカナル型イヤホンなので、そのままでも非常に高い遮音性なのですが、それを更に上げる裏技があります。
やり方は簡単、以下のコンプライ製イヤーパッドに交換するだけです。
これを使うと他に何も聞こえないくらい遮音されるので、音楽に没頭することができます。その代わりウレタン製イヤーパッドを指で縮めて耳の奥まで入れる必要があるので、最初はちょっと違和感があるかもしれません。
また副作用として、フラット系の音質の中で少しだけ不足していた低音が補完されます。もともと超低域の処理は密閉型ヘッドホンの仕事ですが、ちょうどそんなような効果が現れているものだと思われます。
本当に他の音がぜんぜん聞こえなくなるのでいつのまにか背後に誰か立ってないか気にするようにしてください。
まとめ
という具合に個人的に最強のイヤホンであるフラッグシップモニターイヤホン、ER-4Sの紹介でした。
いわゆる「イヤホンスパイラル」みたいなのはこれで完全に着地して、実際4年くらいメンテナンスしながらずっと運用しています。個人的には一生モノにできるレベルの製品です。
イヤホンとしては非常に高額(25,000円)なんですが、ケーブル交換が用意でパーツもネットショップで簡単に手に入るということで、大事に使えばむしろ安上がりかも、と思います。
ちなみにER-4「P」というよく似た名前のものがありますが、異なるのはインピーダンスで、ポータブルプレイヤーでも再生できるようにインピーダンス低めになっているようです。たぶんどっちでもいいんですが、わたしの使用実績からとりあえずER-4Sの方をおすすめしておきます。
コンパクトなモニター環境が欲しかった貴方におすすめです。