今さら訊けない、よく聞くEQカーブの名前と形の対応おさらい
2016/07/29

その辺のブログにも書いてそうな内容なんですが、備忘録としてEQカーブと名前の対応付けを。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
目次
当たり前の用に使われるEQカーブの名前
最近、個人ブログなんかでもEQの設定とか耳寄りな情報を扱ってくれるようになり、本当に勉強には困らない良い時代かと思いますが、ある程度の前提知識をめっちゃ省略するというのが個人ブログの読み手的に困ったところでございまして、弊ブログでも少なからずその傾向が見受けられます。
そこで、さんざん記事書いといて今更感ありますし、多分ググったら他にも似たような記事が出てくるのではないかと思いますが、今後のためにも一旦「今更訊けないEQカーブ名称」と題しまして、パライコのEQカーブについておさらいしておこうと思います。
EQカーブと名前の対応5種類
覚えて欲しいポイントは一つ、今後どこかのブログ記事とか雑誌で当たり前に使われているのを見かけた時、頭のなかにカーブの形がイメージできることです。
いつものようにWaves Renaissance EQを使いますが、画面が小さいので説明のために大げさにカーブを描きます。良い子は真似しないで下さい。
1. ハイパス、HPF、ハイパスフィルター
まずカーブはこのような形状になります。
いわゆる「HPF」と呼ばれるカーブ、High Pass Filterの略です。日本語だと通称ハイパスと呼ばれます。理由はカーブをよくみるとわかりますが、指定した周波数から高いところに触らない、つまり相対的に高域(=ハイ)を通過させる(=パス)フィルターだからです。
「キックは50HzをHPFでカット」とか言われたら、あーバスドラムのトラックにはこういうかたちのEQを50Hzくらいに挿したんだなー」って思って下さい。
2. ローパス、LPF、ローパスフィルター
ハイパスがあればローパスももちろんあります。
言うまでもありませんが、指定した周波数より低いところをそのまま通過させる、つまりロー(低域)をパス(通過)させるフィルターです。英語だとLow Pass Filterなので略してLPF。
「ギターソロは10kHzから上をLPFで思い切って削る」とか書いてあったら、「あー10kHzにこういうカーブでばっさりね」と思って下さい。
3. ベル
言葉としてあまり解説書の類には出てきにくい印象があるのですが、「ベル・カーブ」と呼ばれるものがあります。
鐘(ベル)っぽい形なのでベル・カーブと呼びます。多くのEQプラグインの場合、カーブを指定するところで「Bell」という選択肢があったり、鐘っぽいアイコンが書いてあったりします。
また、「Bell」という選択肢がない場合、「Peak」(後述)など形や役割が同じカーブで表記されていることもありますので、「ベルがない!」と焦らないで下さい。
ちなみに、形を見てなんとなくわかる通り普通超低域とか超広域ではなく真ん中あたりのカーブで使います。
4. ピーク(ピーキング)
形の種類はベル・カーブと全く一緒なのですが、こっちのほうがよく使うので覚えましょう。「ピーク」と呼ばれるものがあります。
ベル・カーブと何が違うのかよくわからないんですが、言うとしたらベル・カーブが形で名前をつけているのに対して、ピークは性質で名前をつけているというところでしょうか。
あとこの画面キャプチャのように、Q値を大きくすると到底鐘とは思えない形状になるのでベルっていうのもなんか変ですし。実際多くのドキュメントではこっちの名前で呼ばれます。
で、ピークというのは英語でPeak、つまり「とがった先端」という意味で、狭い範囲で特定の周波数を突くニュアンスです。カーブの描くイメージ通りですね。
「スネアのリムの乾いたアタックは1kHzが美味しいのでピーキング」みたいな表現で見かけることがあると思います。削る場合もピーキングのようです。
また、低域から高域まで非常に汎用的に使えるので、特にカーブ名が書いてなくても「300Hzをカット」とか「2kHzをブースト」とか書いてあったら暗黙の了解でピーキングのカーブを使っているものだと思って下さい。
5. シェルフ(シェルビング)
最後に使い方が難しい気がするシェルビング。
これは特定の周波数よりも上(下)をまとめて下げたり持ち上げたりする効果があります。最初に説明したLPF、HPFとの違いは、LPF、HPFがばっさり切り落とす以外のことができないのに対して上げ下げの自由が効くことでしょうか。
シェルフ(シェルビング)というのはshelf(shelving)で、両方「棚」という意味なのですが、どうもいまいちニュアンスが掴みにくいです。日本だと「棚田」という段差になっている田畑がありますが、あれみたいなカーブができるから、ということでしょうか……?
わたしはこの辺の扱いが下手なのであまり使ってないのですが、「ドラムの金物は10kHz以降をシェルビングで少し持ち上げる」とか言われたら、「あーこのカーブで高域をちょっと上げればいいのね」と解釈すればよろしいのではないでしょうか。
まとめ
多くのEQプラグインないしミックスの資料に当たり前のように書いてあるEQカーブの名称と形の対応確認でした。みなさん一体どこで覚えるんでしょうね、こういうの。
そもそもの動機がシェルビング間違えて覚えてる疑惑だったので個人的にも勉強になりました。
一番使うのはHPF(低域の処理)とピーキングEQ(邪魔な帯域のカット)だと思いますので、まずはこの辺りを、使うのも簡単なのでひとつずつ覚えていけばよろしいんじゃないかと思います。
ちなみにこれらのカーブの使用例が大量に載っている本として、以下の「EQレシピ」がおすすめです。ただしミックスの際の即戦力としては少々使いにくいので、あくまでも参考資料として。