DTMの機材を断捨離して超最小限環境にする思考実験をしてみたら、意外と出来ることがわかった

別にそんなことしなくていいんですけど、魔が差して考えてしまいました。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
目次
佐々木典士さんの本を読みました
ことの発端はこれです。
ちょっと前に流行語大賞にノミネートされた(先週知りました)「ミニマリスト」という言葉。
その火付け役ともいえる佐々木典士さんのミニマリズム本を読みました。
わたしは乱読スタイルなので別に動機があって読んだわけではないんですけど、
モノがあっても豊かにはなれないとか、モノを管理するコストに脳のワーキングメモリを使うとか
そういう不毛さに関する論述は確かに同意するものがありました。
わたしも割と興味のあるもの以外は全く部屋になくて、
たぶんシンプリストというやつに属するのですが、
なにせ音楽制作は機材に依存するのでここだけごっちゃりしています。
いや、待ってください。
DTMを始めたばかりの頃は、豪勢なMIDIキーボードもスピーカーも無かったはずです。
でも、試行錯誤する楽しさ、創作の本質的な面白さはしっかりと味わっていたはずです。
ということは、固定観念を捨ててミニマルDTM環境を成し遂げられる可能性もまた
存在するのではないでしょうか。
……という魔が差したので検証してしまいました。
最小限の機材でやってみよう
結論から申し上げますと、MIDIキーボードもスピーカーもナシにしつつ機能性は削らない構成にできます。
最低限必要なのはモニターヘッドホンとパソコン。
前提として、音源やプラグインは全てソフトウェアを使います。
モニタースピーカー→スピーカーシミュレーター
「スピーカーシミュレーター」というプラグインがあります。
信号処理の技術によって、ヘッドホンから聞こえる音をあたかもスピーカーが前方にあるかのように聴かせるプラグインです。
スピーカーシミュレーターは「DeeSpeaker」がおすすめです。
フリープラグインなので、難しいこと考えずにマスターに挿すだけで「スピーカー風の聴こえ方」になりますので
定位感の調整をヘッドホンだけで行うことが可能になります。
“DeeSpeaker” VST plug-in – DOTEC-AUDIO
また、有償ではwavesの「Waves NX」が良いでしょう。
こちらはパソコンのカメラを使って頭の移動によるスピーカーの位置の変化までシミュレートします。
はい、というわけでソフトウェアを使ってスピーカーをシミュレーションするという技を使って
モニタースピーカーレスという状態を強引に実現しました。
MIDIキーボード→iPhone
次にわたしが必携なのはMIDIキーボードです。こちらも同じようにソフトウェア化してしまいましょう。
これについてはiPhoneアプリの「MIDI Studio」が最強です。
無線LANを使ってMIDI信号を飛ばすアプリなのですが、iPhone画面の鍵盤を叩くと
レイテンシを感じさせない高速レスポンスでCubaseのピアノロールにどんどん打ち込みできます。
リアルタイム入力だと画面が小さくてちょっと苦しいのですが、わたしはステップ入力なので十分でした。
こちらのアプリについては個別に記事を書いて説明してありますので、あわせて御覧ください。
→ 【 480円でiPhoneをMIDIキーボードにしてしまうアプリ「MIDI Studio」が凄い 】
はい、モニタースピーカーに引き続きMIDIキーボードもソフトウェア化しました。
オーディオインターフェース→使わないor小型インターフェース
ギターを入力するにはオーディオインターフェースが必要です。
最近のオーディオインターフェースは小型ですが、それでも筐体が重厚だったり電源が必要だったり
あまりスマートではありません。
というわけで、モバイル用途の超小型インターフェースを使います。
高級機だとApogeeのOne、
もう少し安いやつだと、IK MultimediaのiRig Proがデジタルレコーディング可能です。
ファンタム電源にも対応しています。
これでマイクやギターを繋ぐ手段は確保しつつ、音質とコンパクトさを両立できそうです。
ワークステーション→ノートパソコン
言うまでもありませんがワークステーションはノートパソコンである必要があります。
わたしは今のところiMacを使っていますが、この思考実験に合わせるとしたらMacBook Proしかありません。
理由は当然高スペックである必要があるからです。
ただしSSDを1TBにしたりすると30万円くらいになります。
さすがApple製品、とんでもなく高いです。
まとめ
という具合に、あらゆる機材をソフトウェア化+どうしても必要なハードウェアは小型化することで
かなり最小限の構成(Macbook + オーディオインターフェース + ヘッドホン)にできてしまいます。
- スピーカーシミュレーター: DeeSpeaker
- MIDIキーボードアプリ: MIDIStudio
- オーディオインターフェース: Apogee One
- ワークステーション: Macbook Pro
佐々木さんの本では「モノがあると、それにかまけるためにToDoが増える」と述べています。
例えば本棚があると「本棚のホコリを定期的に取る」というタスクが自動的に増える、という意味です。
一方、すっきりさせるとそれらのタスクが減り、脳のワーキングメモリを圧迫しなくなるので
クリエイティビティが上がる、と考えているようです。
モノを減らすと「沈黙のTO DOリスト」は減り、「本来のTO DOリスト」にいつでも手をつけられる。モノを減らすと、大事なものに集中できるのだ
なるほど、特に定量的に示されたわけではありませんが、一理あります。
最近はギターなどの打ち込み音源も非常に高音質ですし、
「ヴィンテージギターのこの音が」とか「このシンセじゃないと出せない音が」みたいなこだわりが特に無い方は
これを最小構成として断捨離してしまうのも、クリエイティビティの整理に役立つかもしれませんね。
楽器を演奏されない場合、オーディオインターフェースすら排除できます。
それが極端にしても、持ち運びできる環境を高機能・高音質で整えるならば十分実用的な選択肢だと思います。
そもそも「ミニマル環境で音楽をやる人」というロールモデルは伊藤光太さんがいらっしゃるんですけどね。