初心者DTMer向け、今更訊けないDAWの「フリーズ機能」は何が嬉しいのか
2017/01/04

軽くなって安定します。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
DAWでMIDIを打ち込んでいる時、わたしの知る限り全てのDAWでは「フリーズ機能」というものが搭載されており、これを使うとMIDIを一時的に波形データに変換することができます。
……で、それができたら何が嬉しいの?というのがイマイチ直感的に伝わりにくい気がしてきたので、わかってる話を完結に書いてみました。
フリーズ機能(Cubaseの場合)
まずはおさらい。Cubaseの場合ですと、以下のように操作すると「トラックのフリーズ」ができます。
まずMIDIがこんなふうにあったとして……、
そのMIDIに対応するトラックのインストゥルメントに対して、雪の結晶っぽいアイコンをクリックして「インストゥルメントをフリーズ」します。
なんかダイアログが出てきますので、とりあえずOK押します。
すると、MIDIを編集できなくなります。しかし、音は鳴ります。えーと、で?って感じなので、この「インストゥルメントをフリーズ」することによる効果を説明していきましょう。
フリーズ機能の効果
CPU負荷がかなり下がる
実は、MIDIを編集している時は、読み込んでいるVSTプラグインなどの音源ソフトがリアルタイムにMIDIを読み込んで、あれを鳴らすとかこれを鳴らすとかの入力を頑張って処理して音にして出力しています。
したがいまして、再生遅延が起こらないようにそれだけCPUが頑張るのでCPU負荷が上がります。
これが軽量な音源であったら良いのですが、大容量サンプル音源であったり、あるいは大量のトラックを同時に鳴らした場合、確実にブチブチと言って動作が停まったりします。
フリーズ機能を用いることで、「あらかじめMIDIが入力された再生データを作り出す」ことを前もって行うので、CPU的にはすでにあるデータを流すだけで作業が簡単なので、CPU負荷が上がらなくなる、という寸法です。
ハイスペックなPCを使っていても、トラック数が増えてきたり、打ち込みでエフェクトをかけ録りする場合は他のトラックの再生が足かせになることがありますので、地味に有用です。
DAWの動作が安定する
先程の「CPU負荷が下がる」という話にもつながってきますが、DAWの動作が安定しやすくなります。つまり落ちにくくなります。
MIDIを直接再生する場合、音源エンジンがリアルタイムに頑張らないといけないのはお話したとおりです。これが影響して、何かの拍子にプログラムの触っちゃいけないところとか潜在している不具合に当たっちゃって、DAWが強制終了する、という可能性は無視できません。
またそれはトラック数が増えれば増えるほど、いろんな音源でメモリのアドレス空間をたくさん消費するので、メモリリークとかアドレス違反系の潜在不具合にぶち当たる可能性が高くなります(詳しくはプログラミングのお話なので省略します)。
で、フリーズを使うとインストゥルメントの動作を停止して実質波形に起こしたような状態になるので、音源のエンジン部の動作に左右されないで再生することができるようになります。
結果的に、エンジン部に仮にバグが潜んでいたとしても、それに依存しなくなるので動作が安定する……という理屈です。
とはいえ、メモリをたくさん積んでるPCだとそこまで心配する話でもありませんし、そもそも世の中の音源ソフトはそこまでバグバグじゃないはずですので、神経質になるようなコトでもないのですが。たぶん。きっと。おそらく。
まとめ
非常に簡素な記事でしたが、まとめると以下の通りです。
- CPUの負荷を下げられるので、PCスペックがちょっと足りなくてもなんとか間に合わせて制作できる
- たくさん動かしている時不意に落ちるリスクを減らせる
2番目は考察から来ているので実情としてはあんまり意識するポイントではないのですが(Ctrl+S連打してるほうが確実ですし)、いちおう参考として書いてみました。
たいした話じゃないんですが、「PCスペックが足りなくて死ぬ」という困りごとがまだまだあるかと思いますので、ひとつのTipsとして頭の片隅に入れておいてもらえると幸いです。