Cubase 9は言うほどStudio Oneになってないという事実の共有
2017/01/02

見た目だけです。ワークフロー的にはそうでもないです。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
なんだか一部でCubaseがStudio Oneになったと言われているようです。
その理由は、おそらく「1画面に収まるインターフェースになったこと」の外観上の影響が大きいのかな、と思います。
しかし、本当に「Studio One化した」なら、Studio Oneが持つ便利な機能をパクリ上手く取り入れていても不思議ではないはずです。
というわけで、そのへんの操作についてStudio Oneの真似をしてみたら全然できなかったという話をして水を差そうと思います。
目次
Studio One化したといわれる部分
まず大きく変わったのは画面のインターフェース。1画面化しました。
しかし、これはそういう見た目を選べるようになったというだけで、今まで通りトラックビューとコンソールとMIDI編集を行き来するスタイルも使えます。
ただ、一覧性が上がったのは確かですので、大画面ディスプレイで運用される場合は重宝します。わたしも実際こっちのほうが好きです。
……で、ぶっちゃけここだけでして、他は今までのCubaseと大きく変わっていないことをインターフェースの観点からちくちく話していこうと思います。
Studio OneにできてCubase 9ができそうでできてないこと
Studio Oneのデモ版とかググってみてわかった範囲で色々試してみて、Cubaseでも真似してみたけどできなかったことについて述べていきます。
ドラッグアンドドロップでトラック追加
はい、Studio Oneの強力なワークフローの代表、インストゥルメントをトラックビューにドラッグアンドドロップするとトラックができるというアレです。
真似てみました。
……空振りました。
というわけで、できません。残念。
従いまして、Cubaseからトラックを追加する場合は、1画面表示ではありますが、右側のインストゥルメントから個別に選択して、設定して、追加していく必要があります。今まで通りですね。
マスタリング周りの機能
Studio Oneといえばマスタリングの編集がプロジェクト単位でシームレスにできるという強力な機能があります。
PreSonus Studio One | 概要 – 次世代の64Bit DAW
各種ツールを使用して、プロジェクト全体をマスタリングできます。全ての曲が完成するまでマスタリングを待つ必要はありません。1クリックでプロジェクトが自動更新され、各ソングの最新状態がプロジェクトに含まれます。また、マスタリング中に再編集が必要なソングがあれば、ソング・ページをクリックして編集作業し、プロジェクト・ページに戻るだけ。とても簡単です。
この「行き来ができる」というのがCubase使いとしては垂涎ものでして、めんどくさい書き出し処理の一切を省けるというのは非常に魅力的です。
……が、Cubaseは今のところそもそもそんなモード自体ありません。ので、今まで通りマスタリング用のプロジェクトを自分で作って、そっちに2mix書き出して管理する必要があります。
今まで通りといえば今まで通りなので、Cubase使い的にはワークフローに変化はありません。
プロジェクトの整頓とその辺のUI
プロジェクト周りもStudio Oneは洗練されています。
フォルダ構造を最初にDAW側で保持してくれるところはCubaseと同じですが、DAW画面上でさくっと読み込めますし、DAW画面上で編集して整理整頓できるのは地味ですが魅力的です。CubaseだとFinderに行く必要が少々出てきます。
するとまぁ、わたしの使い方が悪いだけだと思うのですが、色々実験してるとこんなんなっちゃうんですよね。これの整理整頓は大変です。
これなんとかしたいんですが、有効な解決策が調べても出てこないのでちょっと困っています。皆さんどうしてるんでしょうか。あと、プロジェクトの書き出し先の記憶が意図しない場所になっていて、オーディオファイルが意図しないフォルダに書き出されることもあって、これも困っています。
起動スピード
「Studio Oneは動作が軽快」と言われており、その起動スピードも長所の一つです。
Cubaseは9になって安定性が増したと言われていますが、動作の機敏さについては体感として大きな差は感じられないかなーという印象です。
というかStudio Oneのデモ版で試してみたんですが、プロジェクトのトラックが開ききるまでの早さに2倍近い開きがあります。Cubaseの起動はやっぱりちょっと遅いような気がしました。
ただ、テストしたケースがKONTAKT複数台とかPLAYエンジンが1トラックあったりする重たいトラックテンプレートなので、音源プラグインとの相性もあるかもしれません。それを差し引いてもStudio Oneのほうが早かったのは事実ですが……。
まとめ
なんか難癖つけてるだけの記事に見えますが、わたし個人としてはCubaseが一番です。
もう最適化しすぎてて今更乗り換えできないというのもありますが、中庸同人音楽作家としてはコードトラックがあまりにも魅力的で外せません。9で追加されたMix Historyも、わからないなりにぐりぐり試してミックスするわたしとしては「あっ前のほうが良かった」って思ったときに設定を巻き戻せるのが非常に重宝します。
また、ステップ入力をキーボードショートカットで相当効率化しているので、Studio Oneの最低限のステップ入力機能ではそれこそ効率が落ちそうなのです。
なので、Cubaseには是非UI周りの凄い最適化をやってほしいなーと期待しています。あとはちょっとバグってるのがまだ直ってない以外は結構好きなんですが……。