ありんこ書房

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DTM初心者が陥りがちなリバーブの4つのミスとその対処

      2016/10/23

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偉そうなこと言えるほどわかってないんですが、「これは抑えておけ」みたいなリバーブの話です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

ミックスのときよく槍玉に上がるのはEQとコンプ、あとリミッターとかその辺でしょうか。
そして、音楽を作り込むに当たっては、たとえば音楽理論とかアレンジの話がさかんに為されているのをよく見かけます。

しかし、リバーブについてはどうでしょう?初心者の方から見た時、まだまだブラックボックスな感じがしませんか。
というわけで、本記事ではリバーブの話を少ししてみようかと思います。

主旨としては「まあここだけ押さえておけば変なリバーブにはならないよ」という最低限の基本です。
そこの初心者の貴方、誰も教えてくれねーって悩んでませんか?そのあたりです。

リバーブでありがちな4つの勘違い

というわけで、何かと影が薄くて正体不明感が強いリバーブ。
一旦「IRリバーブがどうだ」とか「スプリングリバーブが良い」とかそういう発展的な話は一切抜きにして、ごく基本的なことについて取り扱ってみましょう。

ミス1: センドじゃなくてインサートにしちゃう

これは教本なんかでもよく書いてあるんですが、リバーブはインサートではなくセンドにしてください
よくわからないかもしれませんが、Cubaseのトラックで言うとこんな感じです。

任意のトラックに「INSERTS」というところからプラグインを選択して適用するやつ。これが「インサート」です。

プラグインのインサート

プラグインのインサート

で、リバーブの場合これではなく「センド」という方法を使います。
つくりかたは、Cubaseの場合ですと以下のような感じです。

まずトラックを右クリックして「トラックを追加」→「FXチャンネル」を選択して、FXチャンネルを作ります。

FXチャンネルの作成

FXチャンネルの作成

次に、FXチャンネルのトラックに「INSERTS」で任意のリバーブプラグインを挿します。

リバーブの適用

リバーブの適用

最後に、リバーブを適用させたい別のトラックの「SENDS」から、さきほど作ったFXチャンネルのトラックを指定します。
これで「センド」というエフェクトの適用ができます。

センドの設定

センドの設定

センドによって適用することで原音成分+リバーブ成分という表現ができるようになります。
それの何が「インサート」で実現した時とくらべて嬉しいのかというと、音像がぼやけないからです。

例え話をしましょう。クラシックのコンサートはホールで聴くことになるかと思いますが、普通演奏者の奏でる音は演奏者→聴衆 にダイレクトに伝わる音と、 演奏者→壁(反射)→聴衆 と間接的に伝わるものに大きく分類されるはずです。
ロックのライブも一緒ですね。アンプのキャビネットから直接伝わる音と、ライブハウスの壁で反響して聞こえる音の2つですね。

で、インサートでやってしまうとこの反射した音だけみたいな状態になります。原音がどっかいっちゃいます。おかしいですよね?
センドで実現すると、「原音のトラックの音」+「FXチャンネルに挿したリバーブの音」が合体するので、ちょうどさっき説明した「原音+反射音」の状況が再現できるというわけです。

てことなので、リバーブはセンドで行うのが基本です。ちなみにディレイなどの空間系エフェクトは全部こうやるのが定石です。
一方で、「インサートに挿したほうがいいと思ったらそれもアリ」なのが音楽ですので、基本を覚えた上でご自分で崩してみるのがたのしいでしょう。

ミス2: センド量がわからないので風呂リバーブになる

さて、「リバーブはセンドで使おう!」というのを覚えたはいいんですがどれくらいリバーブ効かせればいいんだよって話ですよね。書きましょう。

さきほど「センドで適用する」という話はしましたので、任意のリバーブプラグイン(CubaseだとRoomWorksというのがデフォルトでついてますね)を適用させた状態で話を進めます。

Cubaseだと、「SENDS」にささってるエフェクトの位置にマウスポインタを置いたときに左側に出てくる「●」みたいなのを押すとSENDSがオンになってリバーブが効き始めるのですが、まあそのままだと超ボワボワでヤバいです。
というわけで調整します。

センド量の設定

センド量の設定

ここでの目標は、さきほどの例え話のように「原音+反射音」っぽく聴かせることです。で、どうすればいいのかというと左側に振ってゲインを下げます。
下げ幅は正直つくってる曲の構成によって異なるのですが、指針としては-15~-20dBまで思いっきり下げてしまって大丈夫です。

ピアノやヴァイオリンとかだと大げさにリバーブかけたほうが映えることがあるので、これも最終的には「聴いた感じイケてるライン」でご自分で判断するのがよいでしょう。
最近のミックスは比較的ドライなので、ギターやドラムはリバーブ控えめで意外と大丈夫です。

ボリュームフェーダーの操作の感覚で「-8くらいかな〜」とやるとわりと風呂リバーブなので、思い切って下げちゃってください。
ライブハウスをスーパー銭湯にするなら話は別ですが、控えめすぎるほうが壊滅する可能性が圧倒的に低いです。たぶん銭湯で演奏すると湿気で機材壊れますし。あれ?

ちなみにリバーブは各トラックのセンド量でこうやって管理するので、わたしはFXチャンネルのボリュームフェーダーは一切操作しないようにしています。
操作系統が複数あると混乱してしまいますので。

「ギターが2トラックある」とかいう場合、グループチャンネルを作って各ギタートラックのアウトプットをそこに設定し、グループチャンネルからセンドでリバーブを適用するのが良いでしょう。

ミス3: リバーブにEQをかけない

さて、「センドで送れば良いね!」「意外と控えめでも大丈夫だね!」というのがわかったところで、次の落とし穴です。
ミックスの時、各トラックにボリュームフェーダーの操作やEQ、コンプをするかと思いますが、リバーブがささっているFXチャンネルも対象です。

さきほど、「センドで送ることで原音 + 反射音にする」という話をしました。
つまり、オケ全体を聞いたときの状況としては2トラック分の出力が重なっている状態になります。
ということは、ミックスのときに上手く処理しないといけない低音も、リバーブを適用しなかったときに比べてちょっと盛ってあるということがいえます。

というわけで、リバーブを挿したFXチャンネルのリバーブの下にEQを挿します。
たぶんどっちでもいいんですが、わたしは直感的にわかりやすいので「残響が加わった状態にEQでコントロールする」という手段を取っています。

FXチャンネルにEQを挿す

FXチャンネルにEQを挿す

気になるEQの設定ですが、結局オケに寄るので一概に正解がないというのをあらかじめ断った上で、
だいたい150Hzから下をばっさりカットしちゃってます。

FXチャンネルのEQ設定

FXチャンネルのEQ設定

なぜならば、低域成分に残響を加えてもひたすらボワボワした成分ばっかり耳についてあんまり音楽的な部分が残らないからです。
音楽的な部分というのは、たとえばストリングスにリバーブをかけると荘厳な響きが得られますが、ああいうのがあんまり感じられないという意味です。
あと、リバーブの信号処理的な理屈の関係で低音がどうしても増える傾向にあるので、ミックスバランス的にもおいしくないです。

ちなみに、残りの成分は元のトラックにEQ挿して弄ってるはずなのであまり加工しなくて良いと思います(場合によってはハイシェルフで高音ちょっと持ち上げたりしても良いですが)。
低音が増えすぎる問題を解決するのが目標となります。

ミス4: 低音楽器にリバーブをかける

前節で「低音にリバーブ盛ってもボワボワするだけでおいしくないよ」という話をしました。
てことはベースやバスドラムのリバーブって危ない!?という話になりますが大体合ってます。

コントラバスやパイプオルガンの場合、ホールリバーブの残響が必要なタイプの音色なので挿したほうが良かったりするのですが(もちろん邪魔な部分はばっさりカット)、
バンド編成のエレキベース、バスドラムについては不要だと思って良いです。
じゃあバスドラムがなんか薄っぺらくペチペチするんじゃ?と思うかもしれませんが、多くの場合ルームマイクのトラックにリバーブをかければ、拾ってるバスドラムの音に作用してくれますので問題ありません。

で、これも必ずしも「低音楽器にリバーブをかけるな!」という話ではなく、何らかの効果を狙っている場合はアリです。
しかし、この記事をご覧の貴方が「リバーブわかんねー」な状態の場合、やめとくのが賢明でしょう。

まとめ

というわけで「リバーブ基本のき」でした。以下の4点を守ると、リバーブをかけたときにおかしなミックスになるのは防止できるでしょう。

  • センドでリバーブをかける
  • センド量は-15~-20など、結構控えめで大丈夫
  • リバーブがささってるFXチャンネルにEQを挿して低音を削る
  • 低音を担当する楽器にリバーブはかけなくてもよい

もしかしたらなんかいい加減なこと言ってるかもしれませんがとりあえず破綻しないのは保証します。
その他技術的な応用パターンはよそ様のほうが遥かに充実した記事を書いていますので、適宜ぐぐってみてください。

ちなみに本記事の画面キャプチャは2,000円で変える激安高音質プラグインスイート「ToneBoosters」を使っています。プラグインの種類で迷うようなら、これを選ぶのが何も考えなくて良いのでおすすめです。
(関連記事: 2000円で手に入るプラグイン。ToneboostersのEQが超使いやすい件)

あと応用例が紙媒体でほしいなら、以下の書籍にあらゆるパターンが列挙されています。

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