「Macで同人音楽活動」に憧れる人が気をつけるべき3つの落とし穴
2017/03/08

最近痛感したのでさくっと共有するMac環境の落とし穴です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
Mac環境でのDTMとか同人活動、なんだか漠然とスマートなイメージってありません?わたしはWindowsのときそう思ってました。
で、バックアップとかサウンドドライバとかで事実Macのほうが優れているところがあって、デザインの格好良さなんかもあって気になる方もいらっしゃるんじゃないかなーと思います。
ところが、Windowsの使い勝手を前提に環境移行したり、あるいはOSによる事情の違いを認識せずにMacで始めてしまうとちょっとだけ困ったことになります。
そこで、わたしが最近感じた「Macならではの不便」みたいなのをここで共有して、皆様が環境を変えたいと思ったときに役立てていただければと思います。
Macで同人音楽活動するとちょっとだけ困ること3つ
話は簡単です、Windowsほど自由が効かないんです。特にフリーウェア!
1:フリーのVSTが制限される
VSTプラグインというかVSTという規格は標準規格なので、WindowsもMacも関係ありません。
しかし、プラグインを作る人がOS対応を頑張らないといけないという理由で、多くのフリーVSTプラグインは「Windows版だけ」というのが少なくありません。どういうわけかMacだけっていうのはあんまり見ません。
最近はだいぶWindows版・Mac版の両方があるフリープラグインも増えてきましたが、それでもよく知られているもので使えないものが存在するのが実情です。
たとえば「Variety Of Sound」のエミュレート系コンプ・EQプラグイン。コンソールの銘器をエミュレートした非常に性能の高いフリープラグインが揃っています。
ところが全部Mac非対応です。ダウンロードページからダウンロードすると「.dll」ファイルが入ったzipが落とせるのですが、この形式はMacだと読み込むことが出来ません(Macは「.vst」)。
このほか飛び道具ですが、ボカロにグロウルをさせるのに便利なプラグイン「charsiesis」も使えなくて諦めた記憶があります。
KVR: Charsiesis by Fuzzpilz – FSU VST Plugin for Windows
という具合に、今はそこまでヒドくないことを断っておきますが使えないフリーVSTが出て来るので気をつけてください。「おすすめフリープラグインn選!」とか紹介されててもその文脈に乗れないので悔しい思いをするかもしれません。
解決策としては、「DAWの標準プラグインでなんとか頑張る」「使えるフリープラグインを探す(結構あります)」「お金のパワーを借りる(有償はほぼ100%Mac対応)」があります。
2:動画制作ソフトがフリーだと無いも同然
今ってYoutubeとかニコニコだったり、twitterの埋め込み動画とかで音源の宣伝に動画を使うようになってきたじゃないですか。
こう考えた時、リリックビデオでも簡易ティザーでもいいから動画は作れたほうがいいんですがMacはフリーの動画制作環境不毛の地です。
WindowsにはAviUtlという最強のフリー動画制作ソフトがあります。タダなのになんでもできます。外部のエンコーダを組み込むと画質もいい感じです。
が、Macだと当然動作しません。ので代わりの何かを探す必要があるのですが、「機能性」と「ソフトウェアの更新が停まってない」を確保できているのがわたしの知る限りだとiMovie (Macに最初からはいってるやつ)しかありません。
しかしながらiMovie、割と簡単な効果に特化しているので、AviUtlのように「図形を入れる」とか「スペアナを表示する」とかそういう高度なことはできず、その場合同じApple製の有償ソフト「Motion(6,000円)」「Final Cut Pro(30,000円)」を使うか、AdobeのPremiereとかAfter Effects(CCで月5,000円、単品で月2,200円弱)を使う必要があります。
……高いですよね?なかなか困ります。
この対策としては、「MacにWindowsをインストールしてAviUtl(仮想環境とかbootcamp)」、「スマホの動画制作アプリを使う」「お金のパワーを借りる(Adobe CCが正解)」というのがあります。
このうちアプリについては以下の記事で取り扱ってみてますので、よろしければ御覧ください。
(参考記事: 簡単にMV風動画を作れるアプリ「Triller」で個性的な弾いてみた動画をつくろう)
「動画なんて作らねーよ!」って人にはいらない心配かもしれませんね。でもボカロでなんか作る時とか同人の特設サイト用ムービー作りたくなったとき、たぶん面倒なことになります。。。
3:CDDB登録が無理
さて同人音楽活動といえば作ったCDをCDDBに登録しろよ!って色んな所で言われてますね。でもこれMacだと限界があるんです。
参考記事を先にあげますが、CDDBには複数あって、音楽を再生するソフトによって参照するCDDBが違います。
音系サークルさん向け。「まだCDをCDDBに登録してないの?」実はあなたも出来ていない?!CDDBへの登録について | 夕立note.
で、iTunesについては上記のブログ様の記事を参考に設定すればいいんですがじゃあWindows向けのCDDBどうするんだよって話になりますよね。無理です。
うーん、身も蓋もないんですが、これ本当に無理なんです。なにせ設定に使えるソフトがありません。つまり、いきなりMac環境で始めた場合「CDDB登録されてねーぞ」っていうクレームを浴びる可能性があります。なぜならば、なんだかんだ言ってWindowsは多数派だからです。多数派に対応できないんじゃ話になりません。
この解決方法としては、動画制作ソフトのように「Windowsをインストールしてそっちで設定する」、あるいは「Windows環境の人に頼んで登録してもらう」というのがあります。Windowsは買わないとインストール出来ないのでお金のパワーを借りる必要があります。
まとめ
お金のパワーを借りるとMacは不足がありません……じゃなくて、フリーのVSTや動画制作ソフトといった、「同人音楽であったら絶対便利なもの」について制限を喰らいますので覚悟してください、という話でした。
CDDBについてはどうしようもないのですが、原理的にCDDBの場所と登録手続き自体はMacでも可能なはずなので、そういうアプリないのかなーと思ったりします。
ちなみにWindowsをMacにインストールする場合、bootcampというAppleが無料で提供する環境を使ってMacと2つ並列に入れる方法があります。
このほか、「VMWare Fusion」というソフトを使って「パソコン風の何か」みたいなのをMacの中に生み出して、その「パソコン風の何か」にある「ハードディスクを模した領域」にWindowsをインストールするという方法があります(これを仮想環境とかバーチャル環境と呼びます)。
あらゆるニーズに対応する Mac での仮想化: VMware Fusion
いずれにせよWindowsだけはお金のパワーを借りることで手に入れる必要があるので注意してください。Home版で十分です。