Junk Guitarで8弦モドキをやるとき、打ち込みギタリストが気をつける3つのこと

グリスやピックスクラッチ、ハイポジ、オープンコードが変になります。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。
以前、ギター音源Junk Guitarを使って8弦の音域に到達する方法というなかなかピーキーな記事を書きました。
(参考: Junk Guitarで8弦のローF#の轟音を響かせる方法)
で、これを使うと簡単な工夫で1オクターブ下がった音が出るので、8弦のローF#どころかそこから1音さげたEまで出せたりして、表現の幅が広がるね、という話をしました。
ところが、実はこの方法には問題点がいくつかありまして、解消は簡単なんですがギターが弾けないとなかなか気づけない落とし穴になっているということがわかりましたので、それについて共有します。前回の記事をご覧になる・あるいは一緒に閲覧しながらご覧ください。
目次
Junk Guitarのダウンチューニングで気をつけること
まず、以前の記事に書いたような1オクターブのピッチシフトというアプローチは、本物のギターで例えるとチューニングをだるんだるんに下げまくった6弦ギターであって、8弦ギターをシミュレートしているわけではありません。
でも用法としては8弦ギターっぽくやりたいわけで、そうなると8弦ギターではありえない鳴り方をするポイントがいくつか出てきます。それを紹介しましょう。
グリッサンド、ピックスクラッチ、ブラッシングがおかしくなる
はい、無条件に1オクターブピッチシフトで下げているだけなので、特殊奏法も1オクターブ下がります。
グリッサンドとは、指板上で手を滑らせて「ぎゅいーん」って音を出すアレです。8弦ギターだとすると、1〜7弦は普通のチューニングで弦が張ってあるはずですので、グリッサンドが1オクターブ下がって聴こえるのは何か変です。
ピックスクラッチはもっと顕著で、聴いたこと無いようなやたら低い音で鳴りますので使い物になりません(以下はピックスクラッチの奏法参考)。
ブラッシングはすべての弦を手で軽く押さえて鳴らないようにして、それをピッキングすることで「ちゃかちゃか」と鳴らすアレですが、やっぱり1オクターブ下がって鳴るというのは構造的におかしいです。
というわけで、Junk Guitarには上記奏法が収録されていますが、「8弦モドキ」にしたときは使えないと思ってください。
ハイポジションが出なくなる
ピッチシフトで1オクターブ下げる、というのは、ギターで例えるなら12フレット分ボディ側にずれると言えます。
つまり、「もともとのチューニングで12フレットを押さえて鳴っていた音が24フレットで鳴る」ようになります。
一方、標準的なギターは22フレットか24フレット構成になっており、ひとつの弦で2オクターブ鳴らすことができます(1フレット=半音、12フレット=1オクターブ)。
ということは、12フレットよりもボディ側にある13〜24フレットを押さえて鳴っていた音はボディの向こう側に飛び出ることになるのでどっか行きます。
従いまして、ギターソロなんかで高い音を使いたくなった場合、そのままでは使うことができません。
オープンコードが使い物にならない
最後にオープンコード。
オープンコードとは、開放弦(どこも押さえないで弦をピッキング)を含むコードです。たとえばEマイナーはこんな感じ。◯をつけたところ以外は押さえません。簡単なコードです。
つまり、チューニングしたそのままの音をコードに使うということになります。
「8弦モドキ」の設定をしてしまうと、オープンコードに1オクターブ下がった音が侵入してくるので、なんとなく想像できるかと思いますが音が低すぎてグズグズになって使い物になりません。
かといって、バレーコードと違ってオープンコードは1〜3フレット付近で押さえるので必然的にそのグズグズした部分が入ってくるわけで、どうしようもありません。
というわけで、ピッチシフトした場合オープンコードは全く使えません。ご注意ください。
解消法
単純です。どうせ本物のギターじゃないので複数立ち上げればいいんです。
トラックを分割する
まずこんな風にJunk Guitarを立ち上げたトラックを複数つくります。
で、片方に前回の記事で紹介した「8弦の音を出す設定」を行います。もう片方は何もしません。
結果的に6弦+超ダウンチューニングのダブルネックギターみたいな状態になりますが気にしないことにします。音域とチューニングの不自然のカバーは達成できます。
さきほどの問題における「グリッサンド、ピックスクラッチ、ブラッシングがおかしくなる」という点については、この「何も設定してない方のトラック」で打ち込めばありえない状態を回避することができます。
ギターソロも同じ理屈で別トラックを作るのが良いです。バッキングとソロでは音作りも異なるでしょうし。
まとめ
まとめますと、前回の記事に書いた「ピッチシフトで8弦ギターを再現する」設定をしてしまうと
- グリッサンド、ピックスクラッチ、ブラッシングは使えない
- ハイポジションが出ない
- オープンコードが使えない
- 上記対処として、トラックを分ける必要がある
という話でした。
ギターが弾けたらこの「チューニングでポジションが変化する」とか「ブラッシングの音はチューニングでそこまで化けない」とかは直感的に理解できるのですが、打ち込み100%の方からしたらピンと来ないかと思いますので解説してみました。
若干ギターの専門用語が入っていてわかりにくかったかと思いますが、この結論だけ覚えておけばとりあえずOKです。皆様のJunk Guitarライフにお力添えできれば幸いです。
Fujiya Instruments [エレクトリック・ギター音源Junk Guitar, エレキベース音源Organic Fingered Bass]