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今さら訊けない、バンドサウンドのパン(左右の聴こえ方)の基本的な配置

   

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ギターが左右から聴こえて、ドラムに広がりがあって、という基本的なパンの振り方の話です。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

パソコンとDAWを使ってDTM作曲をする場合、その出来上がったオケに対してミックスを行います。
巷ではEQやコンプの使い方に始まり、エキサイターやプラグインを使った様々な「魔法」が取り沙汰されることが多いですが、
本記事では初心に帰って「バンドサウンドをつくるとき、どの楽器をどの辺に置けば良いんだろう?」というステレオのLRチャネルの配置の仕方、つまりパンの置き方について、持論を書いてみようかと思います。

使用DAWはCubaseですが、この手の画面インターフェースはどのDAWも同じようなものですので、他DAWを使われている方も参考にして下さい。

前提: パンの振り方

まずパンを振る方法なんですが、MIDIの場合は波形への変換、レコーディングした波形の場合はステレオ信号である必要があります。
MIDI→波形の変換方法ついては以下の記事の「MIDIから波形を書き出す方法」の節に記載がありますので、方法がわからない方は参考にして下さい。

今更訊けない、Cubaseでの打ち込みで必須の波形書き出し系基本操作3つ

で、MIDIから変換した波形であったり、レコーディングしたオーディオトラックのパンは以下の画像のようにして操作します。

パンの操作方法

パンの操作方法

  1. 操作したいトラックをクリックする
  2. トラックインスペクタの上の方にある、三角形が2個並んでるやつの「C」と書いてある下の小さい四角形をマウスでドラッグ

左にドラッグすると左から聴こえるようになりますし、右にドラッグすると右から聴こえるようになります。
モノラル波形・ステレオ波形のいずれでも同じように操作することが可能です。

というわけで、パンの操作方法をおさらいしましたので、具体的に「どういう楽器をどこに置けばいいんだろう」という話に行ってみましょう。

バンドサウンドのパンの置き方例

はい、それではどの楽器をどれくらいパン振れば良いのか、なんとなくわたしがやっている例で説明しましょう。
ここでの「バンドサウンド」とは、ざっくり学生さんやインディーズにあるオーソドックスなロックバンド構成を指します。

  • ギター2本
  • ドラムス
  • ベース
  • ボーカル・コーラス

キーボードその他ウワモノについては今回省略します。
順番に実例を説明していきます。

ギターのパンの振り方

はい、ギターなんですが、ステージ上は「上手(かみて)」「下手(しもて)」という風にツインギターで分かれるのが基本です。
で、ボーカルギターだったり、ギターが一人だったりするパターンも、もちろんあります。

では、CDなどの音源に収録する場合はギターはどうすれば良いのか?という話ですが、上記のパターンを無視して左右に振るのが安定です。
具体的には、以下のような例が良いと思います。

  • 2回レコーディングして、それぞれL85、R85に設定する
  • 4回レコーディングして、それぞれL85、L100、R85、R100に設定する
  • 2回レコーディングして、それぞれL85、R85に設定するほか、リードギターを別に録ってR60~75くらいに設定する

2番めの「4回レコーディングする」というのはメタルで「ギターの壁」と呼ばれるような物凄い音圧のオケを作る場合に有効な手段です。
バンドサウンドは「隙間の美学」みたいなところがあるので、原則として2本で問題ありません。

リードギターをかぶせる場合は、3番目のように「バッキングが切れてオケがスカスカにならないように、バッキングの上にリードを重ねる」のが有効です。上記の例ではRに振ろうとしていますが、下手がリードギター担当だった場合はLでも良いでしょう。

ボーカルがリードを弾くというパターン(凛として時雨のTKとか、チルボドのアレキシのような)も、聴いたときボーカルと団子にならないように左右に振るのが個人的にはおすすめです。

バンド音源の場合、ステレオ的に左右に隙間ができやすいので、歪んだギターでもアコギでも左右に飛ばして広がりと音圧を稼ぐのが安定です。そういう意味で上記のような例を挙げてみました。

ベースのパンの振り方

ベースは簡単です。何も考えないで真ん中(Cubaseの表示だと「C」)で良いです。
「ベースってバンドだと左にいるじゃん?」と思うかもしれませんが、必ず中央に置いてください。

一般に「低音域は定位感が薄い」と言われていて、超低音は人間の耳にはどこから聴こえているのか判別しにくいそうです。
ベースはもっといろんな倍音を含みますのでそうではないのですが、ベースを左右に飛ばしまくってる音源なんてそうそう存在しないのは音楽好きな皆様ならよくわかるかと思いますので、余計な冒険をしないのが懸命です。

ドラムスのパンの振り方

はい、ドラムが一番シビアというかめんどくさいです。なぜならばキットピースによって定位が異なるからです。
つまり、バスドラムはここ、スネアはここ、ハイハットはここ、みたいな個別の配置が必要になります。

それはなぜか?一般的にはオケに広がりを持たせるためとかドラムスのキットが一箇所にまとまっているわけではないのを表現するためと言われています。
個人的には全部中央においたらごっちゃりしすぎて音圧稼げないからという説を推してみます。

とりあえず、基本は以下を守れば問題ないと思います。

  • バスドラムとスネアは中央
  • ハイハットは左(L80~90くらい)か右(R80~90)、お好みで。中央でも良い
  • ライドシンバルはハイハットの逆、若干内側(ハイハットがL80だとしたら、ライドはR60みたいな)
  • クラッシュシンバルは2つあるはずなのでそれぞれ左右に振る(70くらい?)
  • タムはハイタムからフロアタムに向かってハイハットのパンの位置から反対側に向かって置いていく ハイハットがL80だとしたら、ハイタムがL50、フロアタムがR30みたいな
  • スプラッシュシンバルやチャイナシンバルはキットの位置から連想してお好みで、中央でも良い

基本的な考え方はドラマーを中心としてハイハットが左にあるか、観客を中心にしてハイハットが右にあるかどうかを想像した上で、ドラムキットのキットピースの位置関係を再現するように振ることです。
例外としてスネアとバスは常に中央に置きます。

この位置関係を考えると、ハイハットが左右にあって、タムがそこから反対側に流れていくことや、クラッシュシンバルを左右に振る理由がわかると思います。ただし、メジャーなアーティストの音源だとハイハットが中央にあるのも結構主流ですので、「聴いてみて良かった感じ」をご自身で判断するのが良いでしょう。

ボーカル・コーラスのパンの振り方

ボーカルなんですが一番自由なんじゃないかと勝手に考えています。
が、冒険しすぎても痛い目にあいますので、まずは基本から。

  • 主旋律は中央
  • コーラスは中央でも良いし、複数レコーディングしてRとLに30くらい振って広がりを持たせても良い
  • 特殊効果を狙ってR(L)60とかに飛ばすのもありだけど、無理しない

コーラスは広がりと厚みを持たせる効果がありますので、左右にちょっとだけ振るというのと、同じハモリを2回録って両側に広げるか、1回録ったのを複製して左右に振る(ダブリング)のが良いでしょう。
またパンの話ではありませんが、主旋律を食わないようにコーラスの音量は主旋律より小さめ(7割くらい)に設定して下さい。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
音源に収録する場合、多くはステージ上の立ち位置を意識しますが、一方で音響特性に配慮した振り方をしなければなりません。その一例がベースとバスドラムの中央徹底であったり、スリーピース編成でもギターを多重録音して左右に振ることだったりします。

よく「スリーピースとは思えない音圧」みたいな評価を耳にしますが実際複数ギターが有るんだから当たり前です。デジタルレコーディングならではのからくりが存在します。

意外と詳細に説明されていない「きほんのき」的なパンの振り方、まずはこれを押さえてから、ご自身のオリジナリティを発揮されるのがクリエイティブで良いかと思います。

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