ありんこ書房

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アイドルグループ「アンジュルム」から見る音楽コンテンツのギミック

      2016/06/07

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アンジュルムに限った話じゃないんですけど、アイドルいいですよ。日本の音楽文化の極みです。
御機嫌よう、蟻坂(@4risaka)です。

アイドル、V系、ボカロという文化

日本の特徴的な音楽スタイルに、アイドル、V系、VOCALOIDといった特有の文化があります。
これらに共通する特徴は以下の3つです。

  • 華やかで覚えやすい外見
  • 音楽ジャンルが多種多様
  • 日本の歌謡曲っぽいキャッチーで印象に残るボーカルメロディ

近年大流行のBABYMETALもアイドルから来ているのでこの要素を多分に含んでおり、J-POPもポピュラー音楽といいつつ結構多ジャンル混合だったりしますので、どうも日本の音楽には切っても切り離せない独自の根っこが存在しているように思えます。
ということは、普段聞かないカテゴリに耳を傾けると、新たな切り口からその「根っこ」を観察する機会が得られるかもしれません。

本記事で紹介する「アンジュルム」はアイドルグループですが、非常に多種多様で面白い音楽だったので紹介してみます。

アンジュルムというアイドルグループ

「アンジュルム」は、ハロー!プロジェクト系列のアイドルグループです。

アンジュルム | ハロー!プロジェクト

聞いたことないかたは元スマイレージといえばわかるでしょうか。
一時期スカートが短いアイドルとしてよくわからない話題を呼んだ子たちです(どうでもいいですね)。

スマイレージの衣装がセクシー過ぎる!ミニスカートに注目! | アイドルラバーズ

音楽

で、きになる音楽なんですが、そもそもわたしがアンジュルムの記事をこうして書こうと思ったのは異様なメロディの曲がアイドルに存在していることに衝撃を受けたからでして。
その異様なメロディの曲というのがこちらでございます。

完全にニューウェーブゴスというやつではありませんか。近年のEDM要素も大きいですが。
これに可愛らしい女の子と歌声と踊りが乗っかることでアイドルソングに昇華するわけで、すっごいかっこいいのにポップ!という日本の音楽特有の融合感が本当に素敵です。

この系列だと、「魔法使いサリー」のカバーもなかなかゴシックな雰囲気で素敵です。

これは原曲のメロディもなかなかTHE・日本の歌謡曲なので凄い化学反応を生み出しています。「サリー サリー」のリフレインもツボを得てますよね。

ここからが更に面白いところで、ハードロックも揃っています。

半端無くテンポが速いわリフは重いわギターソロは激しいわでツボです。こういう曲だと歌い方もしっかりパワー系だったりしてクールですね。
しかもギターソロ、アイドルソングだと彼女たちのダンスも見られるんですよね。一粒で二度美味しい!ふつうのバンドじゃ為せない業です。おもしろいですね。

まだまだ行きましょう。

まさかのサンバキックとサックスと歌謡メロディなダンスチューン。本当になんでもあるのでいちいちびっくりします。サビの「好いとうと×3」と顔のクローズアップ、なるほど方言×可愛い女の子ってコンテンツとして反則ですね。よく考えられています。

アイドルというカテゴリにおいて必要な部分はここまでの曲で当然一貫していて、

  • ラブソング系であれば、「君」の主体をぼやけ気味にしてリスナーの解釈に委ねる
  • 10代の女の子の意志を表現した力強いメッセージ性
  • メンバーの声を色んな所で聴ける仕掛け(ソロパートとも言う)
  • 歌いやすく覚えやすいサビ(移動しないメロディとかリフレイン)

というコアはブレさせないで外郭を巧みに差し替えるというテクニックを使っているように見えます。
メロディもサビは比較的歌いやすかったりして、楽曲的に複雑でもコンパクトにポップにまとまるようにギミックが凝らされています。

大量の外注が成せる業

で、バンドと違うのはアイドルグループの主役はメンバーひとりひとりであるというところで、作詞と作編曲は基本的に外注なんですよね。自分たちで作るパターンは滅多にありません(逆に、それができたらそれが個性になったりしますが)。

そうなると「EDMが得意な作曲家」とか「ロックが得意な作曲家」に依頼をかけるとジャンルのるつぼになるわけで、必然的になんでも揃うというわけですね。
その一方で、「アイドルソングとして書く」という依頼がしっかり入っているのか、聞きやすさやテーマ性は一貫していて、なるほどこれがプロデューサーの手腕かと仕組みづくりの巧みさに驚きます。

ということは、アイドルグループの音楽の形成のされ方はプロデューサー、メンバー、振付師、作曲家、作詞家などを含めた半ば組織運営のようなカタチで巧妙に分業されているわけで、メンバーだけがパッケージングの主体になるバンドとまるで違うということがわかります。

音楽だけでもなければメンバーの可愛さだけでもない、ゴリ押し宣伝だけで売れていると思い込むのはもってのほかで、あらゆるコンテンツが高い文脈で絡まり合って一つの目的に向かって邁進していると考えるのが正しそうですね。

うーん、売れないバンドとか底辺ボカロPと呼ばれる存在たちがなんとか日の目を見るヒントがある気がするのですが、いかがでしょう。
マーケティングにおけるホールプロダクト戦略じゃないですけど、音楽以外の全てに全力にならないといけないってことです(そうなるとDIYの限界もまた見えてきますが)。
(関連: 【 同人活動で「自分でなんでもやろうとする」ことの厄介さと、分業の線引きの話 】)

まとめ

アンジュルムはいいよ!って言いたかっただけなんですが後半こじらせてよくわからない話をしました(お陰でタイトルが当初の予定と違うものになっています)。

でもこの「ジャンルごった煮」というのは考え方としては大いに参考になりますので、まずアンジュルムかっこいい!かわいい!から始めて見て、自分のコンテンツに対してなんか応用できないか考えてみるのも悪くないと思います。とりあえず言えるのはアイドルをナメると遅れを取りそうです。

最初に紹介したゴシックな曲「乙女の逆襲」は、下記のアルバムに収録されています。まずはここから。

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